突然の事故によるうちみ(打撲)・ねんざ(捻挫)
うちみとは、皮膚の表面には傷がなく、皮下の小血管が破れて内出血を起こし、皮膚が青くなったり、はれたり、痛んだりするものである。関節、とくに膝関節のうちみの場合、膝の中に血液がたまり、痛みがはげしい。
ねんざは、関節がむりによじれて、脱臼(だっきゅう)の一歩手前まできた状態である。つまり、関節がはずれかかって、また元にもどったもので、痛みの原因は関節のすじが切れたり伸びたりするためだ。足の場合が多い。
目次
うちみ・ねんざの応急手当
うちみの場合
なるべく幅の広い包帯(できれば弾力性包帯)で患部を固定し、安静にする。はじめのうちは、もんだり、あたためてはいけない。四、五日は冷やすようにし、一週間すぎたら、温湿布に変え、患部の運動練習をする。
痛みやはれがいっまでもつづくようなら、骨折・脱臼・靱帯断裂(じんたいだんれつ)などのおそれがあるので、専門医(整形外科)の診察を受けなければならない。
とくに頭を打った場合
まず安静に、頭をやや高くして寝かせる。軽い場合は一時的な意識不明だけで回復するが、鼻出血・嘔吐・意識障害があるときは、頭蓋(ずがい)内の出血が考えられるので、絶対安静にして、医師の来診を待つ。
外傷がある場合は、軽くても後遺症が残ることがあるから、できれば脳外科の診察を受ける。
ねんざの場合
足の場合、はれあがって靴が脱げなくなることがあるので、すぐに脱がす。処置
を誤ると、骨折より治療が長びくことがある。
関節を動かさないように、患部の上からかるく副木(そえぎ)をあてる。副木には、かたい棒や傘・スキーのストック・すだれ・ほうきの柄、あるいは週刊誌や座ぶとんなどを応急に用いるが、できれば綿・布・やわらかい紙を副木に巻き、患部を避けて、二か所以上を包帯で固定する。部位によっては、副木ではなく、ばんそうこう、伸縮包帯でも可。
氷のう、または水の湿布で患部を冷湿布する。市販の湿布薬は皮膚をかぶれさせるものが多いので、直接皮膚にはぬらず、ガーゼなどでへだてておく。むやみにマッサージしてはいけない。冷湿布をつづけて五日~一週間たって、痛みとはれがひいてきたら、今度は温湿布で組織の回復をはかり、温浴によって機能を早くとりもどさせる。
場合によっては、骨折・脱臼のおそれもあるので、医師(整形外科)の診察を受けるように。
漢方では急性の瘀血証ととらえる
うちみ·ねんざは、漢方では急性の瘀血証(前述参照)と考え、おもに駆瘀血剤を用いる。現代医学と併用すると、後遺症も少ない。
効果的な漢方薬
三黄瀉心湯
不意に起こった事故で、精神不安が強くめまいなどがあるときによい。
桂枝茯苓丸
うちみの常用薬。皮下出血、とくに紫色のアザによく効き、痛みをやわらげる。
桃核承気湯
患部がはれあがり 痛みが強く、便秘している人に用いられる。とくに会陰部を打撲し、排尿困難のときに不思議に効く。
桂枝加朮附湯
痛みが慢性化し、気候の変化などで痛み、運動障害のあるものに効果がある。
芍薬甘草湯
痛みが強いときの痛み止めに。