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黄耆(おうぎ)の生薬解説ページはこちら

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別名:黄蓍.綿黄耆アストラガルス

中国の東北華北地方朝鮮半島などに分布するマメ科の多年草キバナオウギ(㊥黄耆Astragalusrnernbranaceus)または中国東北から蒙古にかけて分布するナイモウオウギ(㊥黄耆A.membranaceusvar.mongholicus)などの根を用いる、品質の良いものは外部が淡褐色内部は黄白色で甘くて香気があり断面は繊維性で毛状となっている。とくに山西省綿山に産する綿黄耆は上質とされている。日本の本州中部以北や朝鮮半島などに分布するマメ科のイワオウギHedysarumvicioidesを和黄耆と称しかつては黄耆の代用にされたこともあるが現在では使用しない。また、中国ではイワオウギの近縁植物である多序岩黄耆H.polybotrysしんこうぎの根を晋耆あるいは紅耆といい黄耆の一種として用いている。晋耆は品質良好とされるが日本薬局方では黄耆から除外されている黄耆の成分にはイソフラボノイドのホルモノネチン・トリテルペンサポニンのアストラガロシドのほか、コリンベタインなどが含まれ黄耆エキスには利尿強壮降圧末梢血管拡張抗アレルギー作用などが報告されている。近年黄耆の降圧作用のある成分としてγアミノ酪酸(ギャバGABA)が注目されている。また最近の研究で免疫機能を高める効果が注目されておりT細胞やNK細胞を活性化することが認められエイズ(免疫不全症候群)や癌に対する効果が期待されている。アメリカではアストラガルスという名で健康食品にも利用されアンチエイジングや男性用強壮剤として利用されている。日本でもオウギの葉をペイチー茶と称し健康茶として市販されている漢方では補気・利水消腫・止汗・托毒の効能があり疲労倦怠胃腸虚弱、内臓下垂、浮腫、盗汗、自汗、皮膚化膿症などに用いる『神農本草経』の上品として収載され人参と同様に元気をつける代表的な補気薬のひとつであるが人参がおもに体内の五臓の気(裏虚)を補うのに対して黄耆は体表の気(表虚)を補う。両者を配合すると補益の作用が増強される脱肛や内臓下垂などの中気下陥を升挙する升陽作用もある。また止汗には防風や牡蠣と利水には防已と托毒生肌には当帰と配合する。中国では排膿には生黄耆補気には炙黄耆を用いる。→晋耆(アストラガルス)

強壮作用

慢性の疲労や衰弱、内臓下垂、神経麻痺などに用いる。人参と配合されることが多い心身の過労のために不眠や健忘などの症状がみられるときに遠志竜眼肉などと配合する(帰脾湯)。普段より虚弱でしばしば眩暈や頭痛などの症状を繰り返す者に半夏白朮天麻などと配合する(半夏白朮天麻湯)術後の体力回復に人参、当帰地黄などと配合する(十全大補湯)胃下垂や脱肛、子宮脱などの内臓下垂には柴胡升麻などと配合する(補中益気湯)脳卒中の後遺症にみられる運動麻痺には桃仁紅花川芎、地竜などの活血薬と配合する(補陽還五湯)。しびれや知覚麻痺に桂枝芍薬などと配合する(黄耆桂枝五物湯)。また虚弱体質者の高血圧には四物湯に釣藤黄柏などと配合する(七物降下湯)。

利水作用

腎炎や浮腫関節腫脹などに用いる。腎炎に黄耆を大量(20~50g)に用いれば利尿して浮腫を改善し、血清クレアチニンを低下させ、蛋白尿を軽減すると報告されている、ただし大量に用いれば瘙痒感が出現することがある。腎炎や妊娠中毒症で全身性の浮腫がみられるときには防已茯苓桂枝などと配合する(防已茯苓湯)。平素より「水ぶとり」で下肢や膝関節が腫脹しているときには防己白朮などと配合する(防已黄耆湯)。

止汗作用

多汗盗汗などに用いる。黄耆は表虚の発汗に用い「固表の主薬」といわれている。止汗作用のある浮小麦牡蠣麻黄根を配合した処方として牡蠣散が有名である。普段から汗が多くよくカゼをひく者に防風白朮などと配合する(玉屏風散)盗汗の処方として当帰六黄湯がよく知られているが、虚弱児で盗汗の多い者には小建中湯と配合する(黄耆建中湯)、また日本では防已黄耆湯を多汗症や腋臭の治療に用いている。

④排膿作用:黄耆は「瘡家の要薬」といわれ慢性化した化膿症に用いる、黄耆には細菌に対する抵抗力を強め排膿を促進し肉芽形成を行う作用があると考えられている。ただし黄耆は熱薬であるため炎症の盛んな化膿症の初期には用いない。化膿が長引いた場合まだ口が開いていないときには金銀花・皂角刺などの排膿薬を配合し(托裏消毒飲)さらに遷延化している場合には専ら抵抗力を補う治療を行う(千金内托散)。華岡青洲は皮膚炎中耳炎などの慢性の化膿性疾患に対して帰耆建中湯を創製した。

処方用名

黄耆・綿耆・綿黄耆・箭耆・生黄耆・炙黄耆、オウギ

基原

マメ科Leguminosaeのキバナオウギ

AstragalusmembranaceusEge、ナイモウオウギ

A.mongholicusBge.などの根。

性 味

甘・温

帰 経

脾・肺

効能と応用

補気昇陽

方剤例

脾肺気虚の元気がない。疲れやすい・無力感・食欲不振・息ぎれ・物を言うのがおっくう・自汗・泥状便などの症候に、人参・白朮・茯苓などと用いる。

①参耆膏・耆朮膏

陽虛の冷え・寒がる・寒冷をきらうなどの症候をともなうときは、附子・乾姜などと使用する。

②耆附湯

大出血後の虚脱や血虚発熱で補気生血が必要なときは、当帰と用いる。

③当帰補血湯

気虚下陥による内臓下垂・子宮下垂・脱肛・慢性の下痢などの症候には、人参・柴胡・升麻などと使用する。

補中益気湯・挙元煎・升麻黄耆湯・昇陥湯

補気摂血

方剤例

帰脾湯

気不摂血による血便・不正性器出血・皮下出血などに、人参・白朮・当帰などと使用する。

補気行滞

方剤例

気虚血滞(血痺)による肢体のしびれ・運動障害・半身不随などに、桂枝・白芍・当帰・紅花などと用いる。

①黄耆桂枝五物湯・補陽還五湯

痺痛を呈するときは、防風・姜黄・羗活・当帰などと使用する。

②蠲痺湯

固表止汗

方剤例

表虚の自汗・盗汗に、白朮・牡蛎・麻黄根などと用いる。

①玉屏風散・牡蛎散

陰虚の盗汗にも、生地黄・熟地黄・当帰などと使用する。

②当帰六黄湯

托瘡生肌

方剤例

透膿散・黄耆内托散・托裏消毒飲・帰耆建中湯

気血不足のために癰疽瘡瘍(皮膚化膿症)の化膿が遅い。排膿しない。潰瘍やフィステルを形成する。うすい滲出が続く。瘡口が癒合しないなどがみられるときに、当帰・川芎・白朮・人参・肉桂などと用いる。

利水消腫

方剤例

防已黄耆湯

気虛の水湿不運による浮腫、尿量減少などに、白朮・防巳などと使用する。

その他

消渇の多食・多飲・多尿に、生地黄・麦門冬・山薬・五味子などと用い、益気生津の効果をあげる。

臨床使用の要点

黄耆は甘温で昇発の性を具え、補気昇陽、固表止汗に働くとともに、補気により生血・生肌し、また「気昇れば水自ずと下る」の効果をあらわし、托瘡生肌・利水消腫の効能も兼ね備えている。それゆえ、脾肺気虛の頭眩気短・懶言無力・食少便溏、気虚下陥の発熱畏寒・久瀉脱肛・子宮下垂、気不摂血の崩漏便血、表虚不固の自汗盗汗、気血不足による瘡瘍内陥・膿成不潰・潰後膿出清稀・久不収口、気虚不能運化水湿の小便不利・皮膚水腫などに適する。このほか、血虚・津虚に用いると補気生血・生津止渇に働<。

参考

①生用すると止汗・利水・托瘡生肌に、蜜炙すると補気昇陽に、それぞれ強く働く。

②人参・黄耆は補気の効能をもち、同時に用いると効果を強めることができる。

人参は大補元気に働き、益血生津・安神益智の効能ももち、内傷気虚に対する第一の要薬である。黄耆は大補元気の効能は人参に劣るが、温昇の力が人参より強く、固表止汗・托瘡生肌・利水消腫などにも働き、表虚の要薬である。人参は甘、微温で平和であり補気に益陰を兼ねるので、気虛兼陰液不足に適する。

黄耆は甘温で補気に助火を兼ねるため、気虚で陽虚に偏するときに適する。

用量

9~15g、大量で30~60g、煎服。

使用上の注意

性質が温昇で助火し補気固表するので、表実邪盛・裏実積滞・気実胸満・陽盛陰虛・上熱下冷・肝旺多怒・癰疽初期あるいは潰後熱毒尚盛などには用いない。

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