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柴胡(さいこ)の生薬説明ページ

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別名:三島柴胡(みしまさいこ)・和柴胡(わさいこ)・北柴胡(ほくさいこ)・津柴胡(しんさいこ)

日本では本州、四国、九州、朝鮮半島に分布しているセリ科の多年草、ミシマサイコBupleurumfalcatumの根を用いる。ミシマサイコの名は、三島に集荷されていた伊豆地方の柴胡の品質が優れていたためにそう呼ばれるようになった。日本産のミシマサイコは和柴胡とも呼ばれ、柴胡の中で最も良品とされている。かつて宮崎県、鹿児島県、静岡県などで野生品が採取されていたが、近年、野生品はごくわずかで市場にはない。最近では日本でも栽培による生産が行われているが、品質は野生品には及ばない。中国産の柴胡の基原植物にはいくつかの種類があるが、市場品はおもにマンシュウミシマサイコ(㊥北柴胡B.chinense)とホソバミシマサイコ(㊥狭葉柴胡・南柴胡B.scorzoneraefolium)である。マンシュウミシマサイコは国産のミシマサイコとほぼ同じ植物とされ、天津から輸出されるため津柴胡ともいわれている。韓国産は栽培品であるミシマサイコ(㊥植柴胡)である。国内の栽培品の生産量は需要の一割に満たず現在ほとんど中国や輸入されている。ちなみに韓国産の竹柴胡(たけさいこ)はホタルサイコ系で薬用に適さず、銀柴胡はナデシコ科の別の植物である。柴胡の成分にはサポニンのサイコサポニンa・c・d・e・f、ステロールのスピナステロール、スティグマステロール、そのほかパルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪酸やアドニトール、アンゲリシンなどが含まれる。サポニンや柴胡の煎液には解熱、抗炎症、抗アレルギー、肝障害改善、抗潰瘍、抗ストレスなどの作用があることが報告されている。漢方では柴胡には解表・疏肝・升提・抗瘧の効能があり、遷延化した発熱や季肋部の不快感、口苦、内臓下垂などに用いる。感染症の少陽病期で邪が半表半裏にあり、寒熱往来といわれるような悪寒と発熱を反復するときには黃芩と配合し、表証の残っているときには葛根と配合する。また胸脇苦満といわれる季肋部の膨満感や圧痛には芍薬と配合し、胃腸症状には枳実と配合する。日本では柴胡の配合された処方をとくに柴胡剤といい、慢性疾患や体質改善の治療に幅広く応用している。

①解熱作用

熱が遷延化したときや弛張熱に用いる。感染症が長引き(少陽病期)悪寒や発熱が交互に出現する寒熱往来のみられるときには黄芩と配合して用いる(小柴胡湯)。頭痛や筋肉痛などの表証が残っているときには葛根などと配合する(柴葛解肌湯)。扁桃炎や中耳炎が治りにくいときには小柴胡湯に桔梗・石膏を加える。小児の解毒証体質の治療には温清飲に柴胡などを配合する(柴胡清肝湯)。肺結核で微熱が続き完治しないときには秦艽・地骨皮などと配合する(秦艽別甲湯)。

②解欝作用

自律神経の失調や神経症、季肋部の脹痛の症状に用いる。更年期障害などの自律神経失調症には当帰・芍薬などと配合する(加味逍遥散)。疳の虫といわれるような小児の神経症には釣藤・茯苓などと配合する(抑肝散)。不眠症や興奮傾向には竜骨・牡蠣などと配合する(柴胡加竜骨牡蠣湯)。ストレスによる腹痛や消化性潰瘍には枳実・芍薬などと配合する(四逆散)。胃腸虚弱体質で腹痛や腹直筋の緊張がみられるときには六君子湯に芍薬と加える(柴芍六君子湯)。肝炎や胆石症で季肋部が張って苦しく圧痛や抵抗がみられるときには黄芩・半夏などと配合する(大柴胡湯)。神経症を兼ねた喘息には麻黄・杏仁などと配合する(神秘湯)。

③升挙作用

内臓などの下垂症状に用いる。虚弱体質などで胃下垂や子宮下垂などに人参・黄耆・升麻などと配合する(補中益気湯)。脱肛や痔核の症状に当帰・黄芩などと配合する(乙字湯)。

処方用名

柴胡・北柴胡・硬柴胡・竹葉柴胡・山柴胡・南柴胡・狭葉柴胡・香柴胡・軟柴胡・細柴胡・春柴胡・秋柴胡・芽胡・嫩柴胡・醋柴胡・鼈血拌柴胡・サイコ

基原

セリ科UmbelliferaeのミシマサイコBupleurumfalcatumL.またはその変種の根。

現在日本や韓国で栽培利用されているものは本種である。中国から輸入される野生種はマンシュウミシマサイコB.chinense(北柴胡)やホソバミシマサイコB.scorzoneraefoliumWilld.(南柴胡)に由来するものである。野生品は軽質、栽培品は硬くて淡色であるので、容易に区別がつく。

性味

苦・微辛、微寒

帰経

肝・胆・心包・三焦

効能と応用

方剤例

透表泄熱

①柴葛解肌湯

外感表証の発熱に、葛根・羗活などと用いる。

②小柴胡湯

邪在少陽の往来寒熱・口が苦い・咽乾・胸苦しい・悪心などの症候に、黄芩・半夏などと使用する。

疏肝解鬱

四逆散・柴胡疏肝散・逍遙散

肝鬱気滞の憂鬱・いらいら・胸脇部の脹った痛み・月経不順などの症候に、白芍・香附子・枳殻・薄荷などと用いる。

昇挙陽気

補中益気湯・昇陥湯

気虚下陥の慢性下痢・脱肛・子宮下垂などに、党参・黄耆・升麻などと用いる。

その他

柴胡達原飲

清胆截瘧(さいきゃく)に働くので、瘧疾の寒熱発作に、黄芩・常山・草果などと使用する。

臨床使用の要点

柴胡は苦微辛・微寒で芳香を有し、軽清上昇して宣透疏達し、少陽半表半裏の邪を疏散して透表泄熱し、清陽の気を昇挙し、かつ肝気を疏泄して鬱結を解除する。それゆえ、邪在少陽の往来寒熱に対する主薬であり、肝気鬱結の胸脇脹痛・婦女月経不調や清陽下陥の久瀉脱肛などにも常用する。

参考

①柴胡には、産地や原植物の違いにより北柴胡(硬柴胡・竹葉柴胡・山柴胡)、南柴胡(軟柴胡・狭葉柴胡・香柴胡・細柴胡)などの別があるが、本属植物は変化が多く分類学的に未整理で、原植物と名称を一致させがたい。また、春・秋に採取したものをそれぞれ春柴胡・秋柴胡と区別し、春柴胡は幼嫩な全草を用いるところから芽胡・嫩柴胡ともよばれる。

②一般には生用する。醋炒すると発散の性質が弱まって止痛に働き、鼈血(スッポンの血)につけると退虚熱の効能が得られる。

③柴胡は配合の違いによって異なった効能を発揮し、広範な応用が可能である。葛根・羗活を配すると発汗解表に、黄芩・青蒿を配合すると透表泄熱に、常山・草果を配すると截瘧(さいぎゃく)退熱に、香附子・鬱金との配合で疏肝解鬱に、白芍とともに疏肝止痛に、白朮とともに調和肝脾に、党参・黄耆・升麻を配合すると昇陽挙陥に、黄連とは清散鬱火に、枳実とは昇清降濁に働くなどである。

④柴胡・葛根は軽清昇散に働き、解表退熱によく併用される。柴胡は疏肝解鬱に働き、益気薬に配合すると昇挙陽気に作用するが、生津止渇の効能をもたない。葛根は生津止渇・昇発清陽に働くが、疏肝解鬱の効能をもたない。

用量

3~9g、退熱には15~30g、煎服。

使用上の注意

昇発の性質をもつので、虚証の気逆不降や陰虚火旺・肝陽上亢・陰虚津少などに使用してはならない。

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