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手、足、腰が冷える時に効果的な10種の漢方薬

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日本女性共通の強敵

冷え症は、女性に多い症状である。ことに日本の女性の半分は、程度の差はあっても、冷えで悩まされているといわれるほどである。

ところが、西欧人の女性には、冷え症という症状がほとんどみられない。そのためだろうか、西洋医学では根本的に治療する方法はなく、せいぜい足腰を冷やさないための物理療法(入浴・マッサージ・環境など)を指導してくれるか、からだをあたためるための食事(タンパク質・脂肪・ビタミン類など)をすすめてくれるしかない。

冷えのために死に至るということは、まずあまり考えられないが、当人にしてみれば、そのつらさはたいへんなものである。

手、足、腰の冷えの症状

冷えの感じ方は人によってさまざまである。これをパターンにわけてみる。

①からだ全体が冷えるもの

②夏でもソックスを重ねてはかなければならず、板の間には五分と立っていられないほど、足が冷えるもの

③頭が冷えて、一年中頭に帽子をかぶっている感じのもの

④背中の一か所が、手のひらの大きさに、水でもかけられているように冷えるもの

⑤胃のうしろのところが、いつも風でもあたっているように、スースー冷える感じのもの

⑥腰に氷をあてているような感じをもつもの

⑦ひざがいつも冷たく感じるもの

⑧ひざから下は氷水の中に入れたようで、そのくせ、顔は火のようにほてってのぼせるもの

女性では、思春期ごろから感じはじめ、結婚するころにはいったんおさまるが、更年期になってふたたび冷えをおぼえるというのが、一般的な傾向のようである。冷えは、更年期障害の重要な症状のひとつなのである。

原因

日本人に多いというのは、その多湿な気候とも無縁ではないと考えられる。内因的には貧血・自律神経の失調・性ホルモン分泌の異常・新陳代謝機能の衰え・甲状腺機能の低下などがあげられる。

死に至る病いではないといったが、冷え症は女性では不妊症や流産癖の原因にもなり、神経痛・リウマチ・腎炎・ネフローゼ・膀胱炎・腰痛・腹痛などを誘因しやすい。それこそ、日本女性共通の強敵なのである。

漢方には冷えの症状!これこそまさに独壇場

西洋医学に適切な治療法がないとすれば、まさしく漢方の独壇場といえる領域だ。症例も豊富で、からだをあたためる薬は、よく研究しつくされているといってよい。

くわしいことは省略するが、漢方の病理概念では、冷えは気・血・水(前述参照) の滞りからくると考える。つまり、病いをもたらすもののすべてがからんでいるわけで、同じ冷えとはいっても、当然それぞれの対応の仕方はちがってくる。

厥冷(けつれい)・厥逆(けつぎゃく)・厥寒(けつかん)・冷病(れいびょう)・心疼冷気(しんとうれいき)などと、症候をこまかく分類しているほどである

手、足、腰が冷える時の漢方薬

当帰芍薬散

貧血ぎみの虚弱な人で、小便の回数が多く、めまい・動悸などがあり、腰から足が冷えるものに。症状パターンの③にとくによい。この処方は女性によく用いられるが、中心になる生薬はタイトルにもなっている当帰(セリ科のトウキの根)である。鎮痛・補血・強壮などの薬効をもつ駆瘀血剤(くおけつざい)であるが、この植物の原名を「当帰夫」という。漢文ふうに読むと「当(まさ)ニ夫ニ帰ルベシ」。冷えも解消すれば夫婦和合の因となり、不妊も消滅するというわけで、それこそ女性のための妙薬ともいえるだろう。

当帰芍薬加附子湯

上の症状よりも、とくに冷えこみがひどく、下腹が痛いという人に用いる。

当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅしょうきょうとう)

手足が冷えて、しもやけのできやすい人によい。脈が細く沈んでいて足が冷えると、腹が張って痛む寒腹(かんばら)の傾向にも。

苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅつかんとう)

とくに症状パターンの⑥に効く。加工ブシ末(前述参照)と併用するとさらによい。小便が近いというのが目標である。この処方は、古典の「金匱要略(きんきようりゃく)」にものっているものだが、同書には「腰に千金をおびて、水中に座するがごとし」と記されている。

温経湯(うんけいとう)

虚弱で、皮膚がカサカサして、つねに足腰が冷え、生理不順でおりものがある冷え症に用いる。こういう女性は、唇が乾いて、手足がほてる。この処方は、不妊にもよく効く。

桃核承気湯(とうかくじょうきとう)

⑧の症状の冷え症に効く。赤ら顔の、あぶらが浮き出るようなタイプで、のぼせがあり、生理不順・肩こり・便秘がちの人によい。冷え症の女性は虚証のことが多いが、この処方は実証タイプの薬である。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

上の症状で、便秘しない人に。

人参湯あるいは附子人参湯(ぶしにんじんとう)

胃腸が弱くて、全身的に体力のない人に処方する。

真武湯(しんぶとう)

生気に乏しく、疲れやすい人で、腹が痛んだり、下痢したりする傾向のある人に。

八味丸

足腰が冷え、腰が痛み、夜何回も小便しに起きる老人に用いる。なお、附子人参湯以下の処方は、附子剤(前述参照)である。

血のめぐりをよくする物理療法

根本的治療ではないが、症状がはげしいときの物理療法は、冷えを軽減してくれる。現代病理学的にいうと、冷えは血管が縮まって血液がじゅうぶんにその場所に行かないからで、あたためることは血液のめぐりをよくするからである。

まず入浴。三八~四〇度Cのややぬるめの風呂に、ゆっくり入るのが望ましいできればこれに「人参実母散(にんじんじつぼさん)」のような浴剤を入れるとよい。

温罨法(おんあんぽう)という方法もある。これは、タオルを五〇度Cぐらいのお湯につけ、よくしぼって冷える場所にあて、その上からビニールの布をあてておくものである。タオルが冷えたら逆効果なので一〇~二〇分ぐらいが限度だ。この方法を発展させたものに、ホットパックがある。

これらの温熱療法のあと、患部をマッサージすると、さらに効果的である。

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