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枳実(きじつ)の生薬詳細ページ

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別名:ビターオレンジ・シトラス/だいだい(橙)

日本ではミカン科のダイダイ(㊥酸橙Citrusaurantium)やナツミカンC.natsudaidaiなどのミカン類の未成熟果実を枳実という。中国ではおもにカラタチ(㊥枸橘Poncirustrifoliata)やダイダイなどの果実が用いられている。枳実よりも大きく成熟直前の果実を枳殻(きこく)という。また成熟した果実の果皮をダイダイは橙皮(とうひ)、ナツミカンは夏皮(なつかわ)と称している。本来、枳実は風などにより落ちた未成熟果実を拾い集めたものをそのまま、あるいは横割りにして天日で乾燥したものである。古いものを良いとする半夏・陳皮など六陳と呼ばれるもののひとつとされている。枳実には芳香性のリモネンを主成分とする精油やフラボノイドのヘスペリジン、ナリンギンなどが含まれる。薬理的には胃腸の非生理的な収縮を抑制し、蠕動を強め、リズムを整える働き、さらに抗炎症作用、抗アレルギー作用などが認められている。漢方では理気・健胃・消積・祛痰の効能があり、気を行らし、気の滞りによる硬結や痰による胸の痞えを消す作用がある。臨床的には胸満感や胸痛、腹満感や腹痛、便秘、食積、浮腫、胃下垂、脱肛などに応用される。また化膿性炎症にも硬結を解する作用があるとして用いられる。米国ではダイダイの未熟果から抽出したエキス(シトラス)が、ダイエット素材として注目されている。シトラスに含まれているシネフリンなどのサーモアミンが、交感神経系に働きかけ、脂肪細胞を刺激して、脂肪酸を遊離して燃焼しやすくする働きがあると説明されている。→枳殻・橙皮・夏皮(ビターオレンジ)

①健胃作用

消化が悪く食べ物が胃に滞って上腹部が膨満しているときに用いる慢性の消化不良で心下部が重い者には茯苓や白朮などと配合する(枳朮湯・茯苓飲)。食べ過ぎによる胃のもたれには香附子・縮砂などと配合する(香砂平胃散)。また胃下垂などの内臓下垂に枳実を単独、あるいは黄耆などと配合する。

②通便作用

秘結した便の排出に用いる。便秘で腹満感が強い者には大黄・芒硝などと配合する(大承気湯・小承気湯)。老人などにみられる慢性の便秘には麻子仁・杏仁などと配合する(麻子仁丸)。また、腹水があって鼓腸、便秘のみられる者には猪苓・沢瀉などと配合する(分消湯)。

③化痰作用

胸中の痰を除き、胸痺(胸痛)を治す。乾いた凝痰があり、咳をすると胸にひびいて痛むときには栝楼仁・貝母などと配合する(栝楼枳実湯)。嘔吐とともに胸や背中が痛むものには半夏・茯苓などと配合する(枳縮二陳湯)。狭心症などでみぞおちから胸にかけて痛むときには栝楼仁・薤白などと配合する(枳実薤白桂枝湯)。

④行気作用

腹部の苦満感や痛みに用いる。胸脇苦満があり、腹痛や緊張が強い状態がみられるときには柴胡・芍薬などと配合する(大柴胡湯・四逆散)。産後の腹満感や腹痛には芍薬と配合する(枳実芍薬散)。

⑤排膿作用

排膿を促進する。痤瘡などの皮膚化膿症に桔梗などと配合する(排膿散及湯・清上防風湯)。

処方用名

枳実・小枳実・江枳実・生枳実・炒枳実・キジツ

基原

ミカン科RutaceaeのダイダイCitrusaurantiumL.、イチャンレモンC.wilsoniiTanaka、カラタチPoncirustrifoliataRafinなどの幼果。

性味

苦、微寒

帰経

脾・胃・大腸

効能と応用

方剤例

破気消積

①枳実導滞丸

腸胃湿熱積滞による腹痛・便秘あるいは下痢・裏急後重などの症候に、大黄・黄連・沢瀉・神麴などと用いる。

②大承気湯

熱結の便秘・腹満・腹痛に、大黄・芒硝などと用いる。

③通導散・枳実芍薬散

気滞血瘀の腹痛・腹満などの症候には、桃仁・紅花・赤芍などと使用する。

化痰消痞

①導痰湯・滌痰湯

胸脇の痰飲で胸が痞えて苦しい・呼吸促迫などを呈するときに、半夏・陳皮・茯苓などと用いる。

②枳実薤白桂枝湯

痰濁阻滞胸陽による胸痛・胸の痞えなどの症候には、厚朴・薤白・桂枝などと使用する。

③橘皮枳実生姜湯

寒凝気滞の胃痛・上腹部の痞えなどの症候には、生姜・橘皮などと使用する。

④枳実消痞丸・只朮丸

飲食停滞・脾胃不運の上腹部の痞え・腹満・食欲不振などの症候に、白朮・茯苓・黄連・乾姜・厚朴などと用いる。

臨床使用の要点

枳実は苦寒で下降し、気鋭力猛で破気消積・化痰除痞に働き、脾胃の気分薬である。積滞内停・気機受阻による痞満脹痛・便秘・瀉痢後重には、気血痰食を問わず用いる。薬カが猛烈であるところから、「衝墻倒壁の功あり」「消痰癖、祛停水、逐宿食、破結胸、通便閉、これにあらざれば能(あた)わざるなり」といわれている。

参考

①炒用すると薬性が緩和になる。

②枳実と枳殻は基原が同じであり、夏至前に採取した幼果で小さなものが枳実、秋季に採取した成熟果実で大きなものが枳殻である。李時珍は「枳実と枳殻は、性味効用ともに同じ、上世また分別なく、魏晋以来、はじめて実と殻の用を分つ」と述べているが、枳実の効能は猛烈で枳殻は緩和である。破積導滞・通利大便には枳実を、理気寛中・消除脹満には枳殻を用いる。

用量

3~9g、大量で30g、煎服。散・丸に入れてもよい。

使用上の注意

破気に働き正気を消耗するので、体壮邪実に用いる。虚弱者・妊婦には使用しない。

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