menu

陳皮(ちんぴ)の生薬解説です。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

別名:陳橘皮(ちんきっぴ)/うんしゅうみかん(温州蜜柑)

日本ではミカン科のウンシユウミカンCitrusunshiuの果皮を用いる。本来は新鮮なものを橘皮(きっぴ)、その古くなったものを陳皮といっていたが日本では区別しない。中国ではオオベニミカン(㊥福橘C.tangerina)やコベニミカン(㊥朱橘C.erythrosa)など多種の果皮が用いられる。やや未成熟なウンシュウミカンの果皮は青皮(せいひ)という。ウンシュウミカンは日本原産で、江戸時代に偶然にみつけられたものである。すなわち、この品種は南中国から九州に渡来したミカンの変種で、鹿児島県の長島が原生起源地と推定されている。ウンシュウとはミカンの栽培で有名な中国の浙江省温州のことであるが、この品種と温州とは直接の関係はない。江戸時代には紀州ミカンが全盛であったが、明治以降、九州から日本各地にウンシュウミカンの栽培が広まった。現在、愛媛・和歌山・静岡・佐賀・熊本の各県などでおもに生産されている。以前、陳皮は日本で自給可能であったが、工場で皮をむく工程が自動化されるようになって、国内で生産されなくなった。陳皮の陳は「陳旧」の意味であり、古いほうが良品とされる六陳(枳実・呉茱萸・半夏・陳皮・麻黄・狼毒)のひとつである。果皮にはリモネンやテルピネンを成分とする精油、フラボノイド配糖体のヘスペリジン、ナリンギンなどが含まれ、健胃・蠕動促進作用、中枢抑制・鎮静作用、抗炎症作用などが知られている。近年、ウンシュウミカンの果皮や果肉に含まれるカロテノイドの一種、βクリプトキサンチンに抗癌作用のあることが注目されている。漢方では理気・健脾・化痰の効能があり消化不良による腹満感や嘔気、痰が多くて胸が苦しいときなどに用いる。ちなみに日本の七味唐辛子や中国料理の五香粉などにも配合されている。→橘皮・青皮(青みかん)

①健胃作用

消化不良や食欲不振などに用いる。消化不良で胃が張って重いときには蒼朮・厚朴などと配合する(平胃散)。胃に水液が溜り、嘔気や嘔吐があって食欲のないときに茯苓・人参などと配合する(茯苓飲)。胃腸の弱い体質で、食欲不振や消化不良、疲労感などのあるときには四君子湯に加える(六君子湯)。小児の消化不良症などで下痢が続くときには山薬・山査子などと配合する(啓脾湯)。

②化痰作用

痰が多くて胸が苦しいときに用いる。咳嗽とともに白い粘稠痰多く出るときには半夏などと配合する(二陳湯)。小児喘息などで呼吸困難の強いときには麻黄・杏仁などと配合する(神秘湯)。慢性気管支炎などで咳嗽や喀痰が続くときには麦門冬・貝母などと配合する(清肺湯)。メニエル病などの眩暈症は体内に痰が詰まって発症すると考えられ、天麻・白朮などと配合する(半夏白朮天麻湯)。

処方用名

陳皮・広陳皮・陳広皮・新会皮・橘皮・チンピ・キッピ

基原

ミカン科RutaceaeのオオベニミカンCitrustangerinaHort、exTanaka、コベニミカンC.erythrosaTanakaその他同属植物の成熟果皮。正名は橘皮。日本市場のものはウンシュウミカンC.unshiuMarcov.およびコウジミカンC.eiocarpaHort、exTanakaに由来するものである。

性味

辛・苦、温

帰経

脾・肺

効能と応用

方剤例

理気健脾

①平胃散

脾胃気滞の腹満・悪心・嘔吐・下痢などに、木香・縮砂・半夏・枳殻などと用いる。

痰湿阻滞による痞え・腹満・悪心・嘔吐・舌苔が膩などの症候には、蒼朮・厚朴などと用いる。

②六君子湯

脾胃虚弱の食欲不振・少食・腹満などには、人参・白朮・茯苓などと使用する。

燥湿化痰

二陳湯

痰湿壅肺による胸苦しい・咳嗽・多痰などの症候に、半夏・茯苓・炙甘草などと用いる。

臨床使用の要点

陳皮は辛散苦降し、薬性が温和で芳香醒脾にも働き、理気健脾・和胃止嘔・燥湿化痰にすぐれ、脾肺二経の気分薬である。脾胃気滞の胸腹脹満・食少吐瀉・消化不良、ならびに痰湿壅肺の喘満痰多に適する。

参考

①古いものほど効能がすぐれているので、「陳皮」とよぶ。

②陳皮は補助薬として用いられることが多く、人参・白朮に配分すると健脾益気を助けて滋滞させず、半夏・茯苓に配すると化痰を強め、蒼朮・厚朴と用いると燥湿を増強する。

③健脾和中には陳皮が、理肺化痰には橘紅が、和中化湿のみで燥散したくないときには橘白が、それぞれ適している。

用量

3~9g、煎服。

使用上の注意

温燥に偏するので、津虚・実熱には用いない。また、耗気するので、気滞・痰湿がない場合は使用せず、気虚や吐血には慎重に用いる。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

*

ピックアップ記事

  1. 2017-11-7

    【期間限定無料】推奨漢方判定フォーム

    推奨漢方判定に興味を持っていただき、ありがとうございます。 漢方LIFEが提供する推奨…
  2. 2017-4-4

    憂鬱・不安感がある方に効果的な漢方薬4種

    原因が考えられない場合が問題 気分が重くて暗いのが、憂鬱感である。そして、精神に安定を…
  3. 2017-3-2

    生理不順に効果のある9種類の漢方薬

    生理不順は女性の宿命的な苦しみ 生理不順、生理異常、あるいは月経異常といわれるものには…
  4. 2017-2-28

    【求人】国際統合治療協会が薬剤師を募集

    国際統合治療協会では薬剤師の資格を生かして、クリニックにて四診を用いて体質におけるアドバイスを 行っ…
  5. 医者

    2017-1-27

    漢方医学の基礎、基本的な考え方とは

    漢方医学の基本的な考え方には、液体生理学、液体病理学といわれる「気・血・水」「五臓六腑 」「経絡」「…
ページ上部へ戻る