風邪をひきやすいときは?
「風邪は万病の元」といわれるが、医学が進歩した現在でも、このことばは真実である。それというのも、症状が多種多様で、個人差も大きく、呼吸器の粘膜がおかされるだけでなく、全身に症状がおよぶからである。
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風邪の原因
直接には、風邪ウイルスやインフルエンザ・ウイルスの感染による ウイルスには抗生物質は効かないから、「風邪に効く薬を発明したらノーベル賞もの」といわれるほどである。
間接的には、自然治癒力の弱まっているときにこうしたウイルスにおかされるのである。つまり、気温の急激な変化に体温がついていけないとき、栄養が不十分なとき、疲労しているときなどで、いわば体力と外敵との力関係がくずれ、風邪をひきやすくなるといえる。
漢方なら証をおさえれば卓効がある
漢方は、むろんウイルスを殺すものではないが、患者のふだんの体質・環境・病気の軽重・症状の相違によって薬を使いわけるので、現代医学の総合感冒薬よりも効果がある。市販されている大衆薬の中こは、漢方処方を基本にしたものがかなりあるほどだ。ただし、同じ患者でも、数日たてば症状がちがってくるので、治療法(薬)も変化する。風邪のような急性病では、証の変化をとらえることが、ひじょうに重要なのである
風邪の際に選ぶ7つの漢方薬
葛根湯
首すじから肩にかけてこり、のどが痛んだり、頭痛があるが、汗が出ないときに使う。
麻黄湯(まおうとう)
鼻がつまって、寒け・発熱・頭痛はあるが、汗が出ず、からだのあちこちが痛むとき。
桂枝湯(けいしとう)
ふだんからからだが弱い人や、病後でなんとなくさっぱりしないようなとき、汗が出すぎるときに用いる。また、葛根湯や麻黄湯で発汗させたが、なお寒けが残っているときにもよい。
麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)
ふだんも体力がなく、寒けがして、手足に痛み・冷寒があるものに効く。
五苓散(ごれいさん)
乳幼児で、嘔吐や下痢のため、水も薬も受けつけないものによい。あるいは、のどがひどく渇き、尿量が減少し、食欲がない乳幼児に。
香蘇散(こうそさん)
ふだんから胃弱で、風邪薬を服むと胃をますますおかしくさせてしまう人によい。
小柴胡湯(しょうさいことう)
風邪がこじれて微熱が続き、セキも出て、口が苦く、食欲もなく、脇ばらのあたりからみぞおちにかけて重い感じのあるものに。
汗を出させる民間療法
「風邪をひいたナ」と思ったら、あたたかくして寝ることがいちばんである。そして、汗を出させるようにするのがポイントで、民間療法のほとんどは、発汗を目的としたものである。
薬は、いわゆる総合感冒薬やアスピリンを初期に使用するのはかまわない。ただし、感冒薬には種類が多く、本質的に効くものと、そうでないものがあるので注意したい。
民間療法
梅干しの黒焼き二、三個と、おろしショウガ少々を茶わんに入れ、しょうゆを数滴たらして、熱湯をそそいだものが効く。
たまご酒は、酒五〇CCを熱くし、卵を二つほどわりこんで、砂糖を加え、かきまぜて飲む。
にんにく・にら・ねぎなどもよい。ねぎ味噌をつくり、熱湯をそそいで飲んでもよいし、熱いうどんに、にら・ねぎを加えて食べるのも効果的だ。