menu

香附子(こうぶし)の生薬解説はこちらから

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

別名:香附(こうぶ)・莎草(しゃそう)/はますげ(浜菅)

全世界の温帯に分布し、日本でも関東以西に自生するカヤツリグサ科の多年草、ハマスゲ(㊥莎草Cyperusrotundus)の根茎を用いる。おもに砂浜や川原の砂地に生えるが畑や公園の雑草として嫌われている。中国の植物名は莎草といい、生薬では地上部の全草を莎草という。ときに香附子の別名として莎草ということもある。ハマスゲの塊茎には芳香があり、附子を小さくしたような形のため香附子という。ひげ根を火で焼き取ったものは光附子という。根茎には精油成分としてシペロール、シペロン、シペレン、コブソンなどが含まれ、香附子エキスには鎮痛作用や子宮弛緩作用、抗菌作用が知られている。漢方では理気・疏肝・調経・止痛の効能があり、胃の痞塞感や脇腹部の脹満感、腹痛、頭痛、月経痛、月経不順に用いる。香附子は「気病の総司・女科の主帥」ともいわれ、気を調えて欝を除き、気が行れば血は流れ、肝欝を解して三焦の気滞を除くとされている。とくに肝欝による脇痛、気滞による上腹部痛、生理痛などに用いる。

①止痛作用

頭痛や筋肉痛、腹痛などさまざまな痛みに用いる。頭痛には川芎・白芷などと配合する(川芎茶調散)。ストレスによる肩こりには烏薬・青皮などと配合する(治肩背拘急方)。五十肩など肩関節の痛みには蒼朮・羗活などと配合する(二朮湯)。気が欝して脇腹が痛むときには柴胡・川芎などと配合する(柴胡疎肝湯)。冷えなどで急に胃が痛むときには良姜と配合する(良附丸)。

②理気作用

気が塞がったり、イライラしたり、胃腸機能が悪いときに用いる。風邪気味で気分が悪く、みぞおちが痞えるときに蘇菜・陳皮などと配合する(香蘇散)。更年期障害などで、のぼせや眩暈を訴えるときには当帰・川芎などと配合する(女神散)。ストレスなどで食欲がなく胃が痞え、下痢や嘔気があるときには六君子湯に配合する(香砂六君子湯)。

③調経作用

月経不順や月経痛に用いる。顔色が冴えず生理不順や産後の肥立ちが悪いときには当帰・地黄・白朮などと配合する(芎帰調血飲)。下腹部に膨満感があって生理痛が強いときには桃仁・紅花などと配合する(膈下逐瘀湯)。

処方用名

香附子・香附・香附米・生香附・製香附・コウブシ

基原

カヤツリグサ科CyperaceaeのハマスゲCyperusrotundusL.の塊状に肥大した根茎。表面をみがいて、ひげ根や鱗葉を取り去ったものが良品である。

性味

辛・微苦・微甘、平

帰経

肝・三焦

効能と応用

方剤例

理気解鬱

①柴胡疏肝散

肝鬱気滞の胸脇が脹って痛む・腹満・憂鬱などの症候に、柴胡・川芎・枳殻などと用いる。

②越鞠丸

気・血・痰・湿・熱・食の六鬱による胸苦しい・嘔吐・呑酸・消化不良などの症候には、川芎・蒼朮・山梔子などと使用する。

③良附丸

寒疑気滞の腹満・腹痛には、高良姜・乾姜・桂枝などと用いる。

寒滞肝脈による両側下腹痛(疝気腹痛)には、呉茱萸・小茴香・烏薬などと使用する。

調経止痛

香附芎帰湯・艾附丸

肝鬱気滞による月経不順・月経痛に、当帰・川芎・白芍・艾葉などと用いる。

臨床使用の要点

香附子は辛散・苦降・甘緩で芳香走竄し、平性で寒熱に偏らず、理気の良薬であり、舒肝理気解鬱に働き、三焦気滞を消除する。気行れば血行り、肝気が舒暢すれば血行は通暢し、気血が疏泄調達すると月経は調い疼痛が止むので、調経止痛の要薬でもある。それゆえ、肝鬱気滞による胸脇脘腹脹痛・月経不調・経行腹痛および胎産諸病に対する常用薬であり、「気病の総司、女科の主帥」と称されている。

参考

理気解鬱には生用し、調経止痛には醋炒するか炒炭した製香附を用いる。

用量

6~12g、煎服丸・散剤に用いてもよい。

使用上の注意

①芳香辛散であるから、単独で用いたり多量・長期に使用すると、気血を耗損する恐れがある

②気虚無滞・陰虚血熱には禁忌。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

*

ピックアップ記事

  1. 2017-4-4

    憂鬱・不安感がある方に効果的な漢方薬4種

    原因が考えられない場合が問題 気分が重くて暗いのが、憂鬱感である。そして、精神に安定を…
  2. 2017-3-2

    生理不順に効果のある9種類の漢方薬

    生理不順は女性の宿命的な苦しみ 生理不順、生理異常、あるいは月経異常といわれるものには…
  3. 2017-2-28

    【求人】国際統合治療協会が薬剤師を募集

    国際統合治療協会では薬剤師の資格を生かして、クリニックにて四診を用いて体質におけるアドバイスを 行っ…
  4. 医者

    2017-1-27

    漢方医学の基礎、基本的な考え方とは

    漢方医学の基本的な考え方には、液体生理学、液体病理学といわれる「気・血・水」「五臓六腑 」「経絡」「…
  5. 2017-1-18

    冷え性チェック!体質から漢方的に自宅でできる改善方法を紹介

    舌でわかる!冷え性体質チェック ビールを飲みすぎた翌日に、舌のコケが厚くなったり、風邪をひいた…
ページ上部へ戻る