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山薬(さんやく)の詳しい解説ページです。

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別名:薯蕷(しょよ)、自然生(じねんじょう)/やまのいも(山芋)

本州以南、台湾、中国大陸に分布するヤマノイモ科のつる性多年草、ヤマノイモ(㊥日本薯蕷Dioscoreajaponica)または中国中南部原産のナガイモ(㊥薯蕷D.opposita)の根茎を用いる。一般に日本の野生のものはヤマノイモまたは自然生といい、中国から渡来した栽培品種をナガイモという。サトイモに対して自然に山に生えているのでヤマノイモ、栽培されていないので自然生という。ナガイモは中世に日本に伝わり、しばしば野生化している。

肥大した根茎は長くまっすぐ棒状に地中直下に伸び、その芋の部分は担根体に相当し、茎と根の中間的な性質をもっている。また葉腋にできるムカゴは零余子(れいよし)という。現在、八百屋で市販されているトロロイモは一般にナガイモであり、またイチョウイモやツクネイモなど芋の形が異なる栽培品種も出回っている。ナガイモは古くは薯蕷といっていたが、唐の代宗の諱(いみな)である預をさけて薯薬と呼ばれ、宋の英宗の諱である曙を改めて山薬といわれるようになった。また中国の河南省で産するものは集荷地の懐慶府にちなんで懐山薬または淮山薬と称されている。成分には多量のデンプンと粘液質のマンナンのほか、糖類やアミノ酸、コリン、アラントイン、グルコサミンが含まれる。漢方では脾胃や肺、腎を補う効能があり、下痢や咳嗽、糖尿病の治療、さらに滋養薬として胃腸虚弱や体力低下の改善に用いる。民間でもヤマノイモを焼酎に漬けた山薬酒が滋養薬として知られている。また零余子も滋養強壮薬として用いる。(ワイルドヤム)

①健脾作用

下痢や胃腸虚弱に用いる。慢性的な消化不良で食欲不振、下痢が続くときには人参・白朮などと配合する(参苓白朮散・啓脾湯)。

②滋養作用

体力の低下や老化による症状に用いる。高齢者で倦怠感、頻尿、夜尿、遺精などのあるときには熟地黄・山茱萸などと配合する(八味丸)。夜尿や頻尿には益智仁・烏薬と配合する(縮泉丸)。また糖尿病の口渇などの症状に単独であるいは麦門冬・黄耆などと配合する。慢性の咳嗽や喘息に麦門冬・五味子などと配合する。

処方用名

山薬・懐山薬・懐山・淮山薬・淮山・生山薬・炒山薬・薯蕷・サンヤク

基原

ヤマノイモ科DioscoreaceaeのナガイモDioscoreabatatasDecne.の外皮を除去した根茎(担根体)。日本産はヤマノイモD.japonicaThunb.に由来する。

性味

甘、平

帰経

脾・肺・腎

効能と応用

方剤例

補脾止瀉

参苓白朮散・啓脾湯

脾虚による食欲不振・元気がない・泥状~水様便・食べると排便するなどの症候に、人参・白朮・茯苓・蓮子などと使用する。

養陰扶脾

一味薯蕷飲・珠玉二宝粥・慎柔養真湯・玉液湯・資生湯

脾陰虚による食欲不振・食べると腹が脹る・口乾・舌質が紅・少苔などの症候に、単味であるいは蓮子・薏苡仁・白扁豆などと用いる。

養肺益陰・止咳

肺虚(気陰不足)の慢性咳嗽・呼吸困難に、人参・麦門冬・五味子などと用いる。

補腎固精・縮尿・止帯

①六味地黄丸・八味地黄丸・知柏地黄丸・左帰飲・右帰飲

腎虚の遺精に、熟地黄・山茱萸などと用いる。

②縮泉丸

腎虚の頻尿に、益智仁・烏薬などと使用する。

③秘元煎

腎虚の白色帯下に、山茱萸・菟絲子・芡実・金桜子・五味子などと使用する。

臨床使用の要点

山薬は甘平で、補気と養陰に働き、補気して滞らず養陰して滋でなく、中気を培補するもっとも和平な品であり、脾肺の気陰を補う。また、渋性を兼ね軽微な収斂の効能をもち、健脾止瀉ならびに補腎固精・縮尿・止帯に働く。それゆえ、脾気虚の食少体倦・大便泄瀉あるいは溏薄、脾陰虚の食少腹満・手足心熱・口乾舌紅、肺気陰不足の久咳・虚喘、腎虚の腰酸腿軟・遺精尿頻・白帯などに適する。消渇に対しても補気養陰・止渇に働く。

参考

①養陰には生用し、健脾止瀉には炒用する。

②山薬・白朮は補脾止瀉に働き、脾虚泄瀉によく同用する。山薬は甘平で補気と養陰に働き肺腎も補益し、渋性があるので、肺虛喘咳・消渇・遺精・帯下などにも有効である。白朮は苦温で補中益気・燥湿健脾に働き、脾虚の吐瀉以外に痰飲水腫・表虚自汗に有効である。山薬は湿盛中満には禁忌であり、白朮は陰虚津少には禁忌である。

用量

9~30g、大量で60~120g、煎服。粉末を呑服するときは、1回6~9g。

使用上の注意

養陰助湿するので、湿盛・中満、積滞には用いない。

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