しみは美容上の大きな悩み
俗にしみとよばれているものには、肝斑(後天性色素異常)、雀卵斑(じゃくらんはん)(そばかす・先天性色素異常)、および湿疹のあとの色素異常とがある。しかし、厳密にいえば、肝斑がしみに相当する。
症状そのものに苦痛はないが、顔の上にあらわれるので、美容上の大きな悩みになる。
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しみ、そばかすの症状
これは男女ともにみられるが、どちらかといえば思春期以降の女性に多く、ピークは三十歳前後である。指頭大から手のひらくらいの大きさに色素が増し、その部分が褐色、または黒褐色になってくる。おもに顔面にできるが、とくに眉毛のまわり・両ほお・上くちびるに多い。できるとすれば、左右対称なのも特徴である。からだの調子によって、色の濃淡が変わることもある。
ちなみに、そばかすは顔面正中部を主として、手の甲・腕・肩・背などの露出部に多発し、夏、日光の光線が強いときに増悪する。思春期からきわだってくることが多く、色白の人によくみかけられる。優性遺伝によるものといわれる。
しみ、そばかすの原因
肝斑というように、肝臓疾患からひき起こされることも多いが、卵巣腫瘍(らんそうしゅよう)などの婦人科疾患や人工妊娠中絶、妊娠などによるものもかなりみられる。あるいは、冷え症・疲労・不眠・ストレスなどがきっかけとなる場合も少なくない。日光の光線によって増悪する。
最近では、若い人のしみが多くなっているが、化粧品の多用、不自然な日常生活と無縁ではない。
漢方ならおどろくような効果が期待できる
現代医学では、治療がむずかしい病気のひとつに数えられている。生命にかかわる重篤な症状ではないので、どうしても研究がおろそかになるのだろう。しかし「内臓の鏡である皮膚」の疾患を漢方で治療すると、おどろくような効果を発揮することが少なくない。もちろん、食事をはじめ、日常生活の注意を守ることはいうまでもない。
効果が期待できる漢方薬8選
桂枝茯苓丸
のぼせやすく、赤ら顔で、便秘ぎみ、生理不順があり、下腹部に圧痛ある人に。
桃核承気湯
上より体力が充実し、症状も強く生理時につらい人によい。以上は実証の処方。
当帰芍薬散
虛証の女性で、貧血ぎみで、顔色もわるく、冷え症もあり、めまい・動悸する人に。
加味逍遙散
虛証で、貧血ぎみ、冷え症もあり、不眠・不安があって、気分がすぐれない人に。
十味敗毒湯
虛実の中間タイプに。
薏苡仁煎
これも一般的に用いてよい。
大柴胡湯
肝機能障害があり、全身的にがっちりとふとった筋肉質、血色もよく、みぞおちがつかえた感じがあり、肩こり・便秘がちの人に。
小柴胡湯
肝機能障害があるが、上よりは体力がなく、起床時に口がねばり、疲れやすい人に。
生活上の注意
この場合も、正しい食養生を行わなければならない(「にきび」の項参照)。化粧法も重要なポイントである。とくに栄養クリームは、絶対昼間使ってはいけない。これをぬって、直射日光にあたると、てきめんにしみが出てくる。