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天麻(てんま)の生薬解説ページ

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別名:赤箭/おにのやがら(鬼矢柄)

日本、中国、台湾などに分布するラン科の多年草、オニノヤガラ(㊥天麻Gastrodiaelata)の根茎を用いる。雑木林の中の陰湿地に生える腐生ランの一種で、塊茎でナラタケの菌糸と共生して栄養分を作るため、オニノヤガラには葉緑素はなく、茎も黄赤色で背丈1mくらいに直立している。枝や葉もなく、赤っぽい棒状の様子を鬼の用いる矢に例えて「鬼の矢柄」と呼んでいるが、同じように『神農本草経』にも「赤箭」と記載されている。地下には長径が10cmくらいの偏平で楕円形の塊茎ができるが、これを薬用にする。アイヌはこの塊茎を煮て食用にしたともいわれる。一般に冬と春に採集し、春のほうが多く採れるが、冬に採取したもの(冬麻)の品質が優れているとされる。天麻は高価な生薬のためジャガイモを乾燥させた「洋天麻(ようてんま)(貴天麻:きてんま)」と称する偽品も出回っている。しかし、1980年頃からオニノヤガラの栽培品が輸入されるようになり、価格はかなり下落した。天麻の有効成分の詳細は不明であるが、多量の粘液質やパニリルアルコール、バニリンなどが含まれ、パニリルアルコールには胆汁分泌作用や癲癇発作抑制作用が、また天麻のエキスには鎮痛作用が報告されている。漢方では平肝・定驚・止痙・止痛の効能があり、眩暈や意識障害、痙攣、頭痛、ヒステリー、関節痛などに用いる。

①鎮痙・鎮静作用

ふるえや痙攣、麻痺に用いる。小児のひきつけや疳の虫、ヒステリーなどに沈香や僵蚕などと配合する(沈香天麻湯)。高血圧などに伴う頭痛、眩暈、振戦、不眠症状に釣藤・石決明などと配合する(天麻鈎藤飲)。脳卒中などによる顔面神経麻痺や構音障害などには附子・羚羊角などと配合する(解語湯)。

②鎮暈作用

眩暈や頭痛に用いる。メニエル病など風痰による眩暈には半夏・白朮などと配合する(半夏白朮天麻湯)。片頭痛などの頭痛には川芎などと配合して用いる。

処方用名

天麻・天麻片・明(みん)天麻・煨天麻・テンマ

基原

ラン科OrchidaceaeのオニノヤガラGastrodiaelataBl.の根茎の外皮を去って湯通ししたのち乾燥したもの。

性味

微辛・甘、平

帰経

効能と応用

方剤例

平肝熄風・定驚

①天麻鈎藤飲

肝陽上亢による眩暈・頭痛・ふらつきなどの症候に、釣藤鈎・石決明・山梔子などと用いる。

②半夏白朮天麻湯

痰濁上擾による眩暈・悪心・嘔吐などの症候に、半夏・白朮・茯苓などと使用する。

③天麻丸

熱性痙攣(驚癇抽搐)に、白僵蚕・全蝎などと用いる。

通絡止痛

①増損四斤丸・秦艽天麻湯

風寒湿痺の関節痛・しびれなどに、秦艽・羗活・川芎・桑枝などと用いる。

②天麻丸

肝腎両虚の肢体無力・しびれ・麻痺などに、杜仲・牛膝・当帰などと使用する。

臨床使用の要点

天麻は甘平柔潤で肝経に入り、平肝熄風・定驚の効能をもち、頭目眩暈・痙攣抽搐・肢体麻木・手足不遂などすべての風証に適し、とくに眩暈によく用いる。

また、通絡止痛の効能もあり、風湿痺着・麻木酸疼・中風癱瘓(たんたん)に使用される。

参考

古来「風薬多燥」といわれるが、天麻は体肥柔潤で液質を豊富に含み、辛ではあるが発散できず、甘ではあるが滋補できず、単独では効力は強くない。補薬とともに虚風を熄し、散薬とともに外風を散じるので、虚実のいずれも用いることができ、配合が適切であれば効果は良好である。燥烈の弊害がないので、血虚津傷にも使用してよい。

用量

3~6g、煎服。

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