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炙甘草(しゃかんぞう)の詳しい生薬解説

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別名国老·リコリス/ウラルかんぞう

ウラル地方、シベリア、モンゴル中国北部に分布するマメ科の多年草、ウラルカンゾウ(東北甘草・㊥甘草Glycyrrhizauralensis)。スペインカンゾウ(西北甘草・㊥光果甘草G.glabra)。新疆甘草(㊥脹果甘草G.inflata)などの根および匍匐茎(ストロン)を用いる。日本薬局方においては、G.uralensisまたはG.glabraを基原植物-としている。日本市場において東北甘草が良品とされているが、中国では西北甘草が一般的に用いられている。甘味が強いために甘草という名があり、甘味料として醤油、漬物、菓子タバコなどにも用いられている。英語ではリコリス(Licorice)といい、リコリス菓子やルートビアなどの原料として利用されている。甘草は漢方薬の中で最も多く配合され、他の薬物の効能を高めたり、毒性を緩和することから国老という別名もある。カンゾウは洋の東西を問わず古くから薬として用いられている。西洋ではヒポクラテスの『全集』やテオフラストスの『植物誌』などに甘草についての記述がみられ、中国最古の本草書である『神農本草経』の中にも上薬として甘草が収載されている。カンゾウは甘味成分としてグリチルリチンを5~10%含み、グリチルリチンは砂糖の約150倍の甘さがある。グリチルリチンの薬理作用にはステロイド様作用、抗炎症作用、抗潰瘍作用、鎮咳作用などがあり、とくに肝機能改善薬として広く用いられている。また近年、エイズ治療薬としても注目されている。新薬にも強力ネオミノファーゲンCやグリチロンなどいくつかのグリチルリチン製剤がある。漢方では補気・清熱解毒・止痛などの効能があり、胃腸の虚弱、虚労、腹痛、下痢、動悸、咽喉腫痛、消化性潰瘍、腫れ物、薬毒などに用いる。一般に甘草を生で用いれば清熱解毒の力が強く、炒めて炙甘草(しゃかんぞう)にすると補気作用が強くなる。また「百薬の毒を解す」といわれるように他の生薬の刺激性や毒性を緩和する目的でも配合される。この場合も本来は炙甘草を用いるべきであるが、日本ではしばしば生甘草が用いられている。甘草の多量投与による副作用として浮腫、高血圧、低カリウム血症などの偽アルドステロン症、ミオパチーなどが知られており、とくに高齢者や女性、また利尿剤併用時に注意すべきである。(甘草)

①滋養作用

健胃強壮(補気)には炙甘草を用いる。胃腸機能の低下には人参・白朮などと配合する(四君子湯)。腹が鳴って下痢するときには半夏・乾姜などと配合する(甘草瀉心湯)。体力が低下したために不整脈や動悸の生じるときには地黄・阿膠・桂枝などと配合する(炙甘草湯)。

②消炎作用

炎症、化膿症には生甘草を用いる。とくに咽喉炎、口内炎の初期で痛みあるときに用いる。咽喉痛や口内炎には甘草を単独(甘草湯)あるいは桔梗を配合する(桔梗湯)。扁桃炎や皮膚化膿症、蓄膿、中耳炎にはさらに大棗・枳実などと配合する(排膿散及湯)。

③止痛作用

筋肉の拘急による痛みに用いる。急性の腹痛やコムラ返りには芍薬と配合する(芍薬甘草湯)。胃十二指腸潰瘍や胆石症などの腹痛に柴胡・枳実などと配合して用いる(四逆散)。

④調和作用

他の生薬の刺激性や毒性を緩和する。甘草が多くの処方に配合されているのは、甘草の「諸薬を調和」させる作用による。たとえば大黄・芒硝による腸の刺激を緩和したり(調胃承気湯)。附子・乾姜による熱性を緩和したり、石膏・知母の寒性を緩和したり、寒薬と熱薬を配合するときの調和を行ったりする。

⑤鎮咳作用

咳嗽や喘息に用いる。一般に補助的に用いられ、上気道炎による咳嗽や喘息には麻黄・石膏などと配合する(麻杏甘石湯)。

処方用名

甘草・生甘草・生草・粉甘草・炙甘草・炙草・甘草梢・カンゾウ

基原

マメ科LeguminosaeのウラルカンゾウGlycyrrhizauralensisFisch.、またはその他同属植物の根およびストロン。

性味

甘、平

帰経

十二経

効能と応用

方剤例

補中益気

①四君子湯・参苓白朮散・保元湯

 

脾胃虛弱の元気がない・無力感・食欲不振・泥状便などの症候に、人参・黄耆・白朮・茯苓などと用いる。

②生脈散・炙甘草湯・加減復脈湯

気陰不足による動悸・自汗・脈の結代などの症候にも、生地黄・麦門冬・人参などと使用する

潤肺・祛痰止咳

①三拗湯

風寒の咳嗽に、麻黄・杏仁・蘇葉などと用いる。

②桑菊飲

風熱の咳嗽には、桔梗・前胡・牛蒡子・桑葉などと使用する。

③苓甘姜味辛夏仁湯・苓甘五味姜辛湯・小青竜湯

寒痰の咳嗽には、乾姜・細辛・五味子などと用いる。

④定喘湯・五虎湯

熱痰の咳嗽には、栝楼・貝母・黄芩・桑白皮などと使用する。

緩急止痛

芍薬甘草湯・桂枝加芍薬湯・四逆散

腹痛・四肢の痙攣痛に、白芍などと使用する。

清熱解毒

①甘草湯・桔梗湯・甘草桔梗湯

咽喉の腫脹・疼痛に、桔梗などと用いる。

②銀花甘草湯

癰腫瘡毒(皮膚化膿症)に、金銀花・連翹などと使用する。

調和薬性

方剤に配合し、性質の異なる薬物を調和させたり、薬物の偏性や毒性を軽減したり、薬力を緩和にしたりする。

その他

導赤散

甘草梢は清熱解毒・通淋の効能をもつので、熱淋の排尿痛・排尿困難に使用する。

臨床使用の要点

甘草は甘平で、脾胃の正薬であり、甘緩で緩急に働き、補中益気・潤肺祛痰止咳・清熱解毒・緩急止痛・調和薬性などの効能をもつ。それゆえ、脾胃虚弱の中気不足による気短乏力・食少便溏、肺失宣粛の痰嗽咳喘、腹痛攣急・脚攣急不伸、癰疽瘡毒あるいは食物・薬物中毒に使用する。また、薬性を調和し百毒を解すので、熱薬と用いると熱性を緩め、寒薬に配合すると寒性を緩め、補薬と用いると驟補させず、瀉薬に配合すると駿速を緩和し、薬性の違った薬物を調和させ、毒性を緩和し薬味を矯正することができる。甘草梢は通淋に働く。

参考

生用すると涼性で清熱解毒に、蜜炙すると温性で補中益気に働く。清瀉薬には生で、補益薬には炙して使用するのがよい。

用量

3~6g、主薬にするときは9~30g、煎服。

使用上の注意

①甘緩で壅気し中満をひきおこすので、湿盛の脘腹脹満・嘔吐には禁忌。

②壅気停津の性質があり、久服・過服すると水腫をひきおこす。

③大戟・芫花・甘遂・海藻に反す。

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