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八味地黄丸(ハチミジオウガン)についてはこちら

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「八味地黄丸は基礎代謝を活発にし、冷えを取り除きます」

処方のポイント

六味丸に、からだを芯から温め基礎代謝を活発にする附子・桂皮を加えたもの。基礎代謝が低下して発生する下半身の冷えや腰痛、排尿トラブルに適応する。冷えや血行不良が原因の不妊症、むくみ等のも応用。地黄が胃にもたれることがあるので要注意。酸味のある甘辛料。

八味地黄丸が適応となる病名・病態

保険適応病名・病態

効能または効果

疲労、倦怠感著しく、尿利減少または頻数、口渇し、手足に交互に冷感と熱感のあるものの次の諸症

腎炎、糖尿病、陰萎、坐骨神経痛、腰痛、脚気、膀胱カタル、前立腺肥大、高血圧。

漢方的適応病態

以下の状態に適用する。

1)腎陽虚。すなわち、腰や膝がだるく力がない、知力減退、嗜眠傾向、インポテンツ、尿量が少なく頻回あるいは尿量過多、排尿に時間がかかる、排尿困難あるいは失禁、夜間多尿、遺尿など。多痰、水様便、浮腫を伴うこともある。

2)腎陰陽両虚。すなわち上記の腎陽虚の症状に、ほてり、口喝、いらいらなどの陰虚の症状のときにもみられるもの。

八味地黄丸の組成や効能について

組成

熟地黄24 山茱萸12 山薬12 沢瀉9 牡丹皮9 茯苓9桂枝3 附子3

効能

温補腎陽

主治

腎陽不足・陰陽両虚

解説

八味地黄丸は腎陰を補う「六味地黄丸」に、補陽薬である桂枝と附子を加味した処方である。

主に腎陽不足の病証に用いる基本処方であるが、腎の陰陽両虚にも用いることができる。8味の薬によって組成されており、主薬が熟地黄であることから、「八味地黄丸」と名付けられているが、腎の陽気を徐々に補うことから「腎気丸」、あるいは出典が『金匱要略』であることから「金匱腎気丸」とも呼ばれる。

適応症状

◇猥膝冷痛

「腰は腎の府なり」「腎は骨を主る」。腎虚になると腰と膝の症状がよく現れる。陽気が虚すると推動機能が低下し、血脈の運行が悪くなるため、「不通則痛」(通じなければ則ち痛む)で疼痛が出現する。また、陽虚は寒を生じるため、冷えの症状が現れ、「寒は痛を主る」ので痛みが強くなる。

◇四肢不温

手足が冷えることをいう。全身の陽気の根本である腎陽が不足すると、陽気を四肢に送達できなくなり、まず手足の冷えが現れる。

◇浮腫

腎は気化機能によって体内の水液の分布、貯溜、排泄を調節しているが腎陽が不足すると水湿が四肢、皮膚に滞り浮腫が生じる。

◇小便不利

腎には昇清降濁の機能(清らかな津液を再吸収し、濁った水湿を尿として排泄する)があり、二便を主っている。昇清機能が低下すると頻尿、夜間尿、尿量が多いなどの症状が現れ、降濁機能力低下すると尿量が少ない、浮腫、小便不利などの症状が現れる。

◇舌質淡胖

淡舌は虚証を示し、胖舌は水湿の停滞を示す。

◇脈遅沈微

遅脈は疾病の性質が寒に属することを示し、沈脈は病位が腎(裏)にあることを示しており、特に尺脈が弱く感じられることが多い。微脈は虚を示す。

八味地黄丸は腎陰を補益する「六味地黄丸」に、腎陽を温補する桂枝と附子を加えた処方である。

「腎は水火(陰陽)の宅」であり陰陽の根本であるが、腎陰が腎陽の基礎となっているので、腎陽の補益にはまず腎陰を補う必要がある。これは「陰の中に陽を求める」考え方で、まず腎陰を補益した上で少量の腎陽を温補する薬を配し、徐々に腎の陽気を上昇させ、腎の機能を回復させるのである。桂枝と附子は腎陽を温補する作用を有している。桂枝は陽気を通じさせる作用に優れており、特に水湿の停滞に最も適切な薬である。場合によって桂枝を肉桂に変えれば、腎陽を補う作用がより強くなり、「引火帰源」(腎陽を本来の所に戻らせる)の効果が高くなる。附子は辛温大熱の性質をもつ散寒温陽薬である。十二経脈すべてを温通させる作用があり、冷えなど陽虛寒盛の治療に最優先される。附子には腎陽を補う作用もあり、「六味地黄丸」と併用すると腎陽を補益する効能がいっそう強化される。本方には滋陰薬が配合されているため、単一的な補陽剤より用いやすい、また三瀉の作用も補陽薬による温燥の性質を抑制できるので、長期服用が可能である、慢性疾患は、単純に陰虚とも陽虛とも判断しにくく、陰陽両虚の場合が多い。これには陰陽の双方を考慮した本方が適当であるが、附子と桂枝の温補の薬性が突出しているので、厳密には腎陰より腎陽を主に補う処方である。

臨床応用

◇腎陽虛

腰痛、冷え、頻尿、浮腫など腎陽虚を治療する基本処方である。病名を問わず、上述した腎陽虚の症状がみられた場合には、本方を用いることができる。虚弱体質の改善、小児発育不良にも用いられる。

◇慢性腎炎

浮腫、尿蛋白などの症状をともなう慢性腎炎や、腎障害をともなう各種の疾患に用いられる。腎炎にみられる浮腫は、水湿(陰邪)の停滞によるもので、利水作用と温陽散寒作用のある本方を用いることが多い。

尿蛋白をともなうとき+「補中益気湯」(健脾益気)

浮腫がひどいとき+「真武湯」(温陽利水)

または+「五苓散」(通陽利水)

◇糖尿病

腎陰虛に属する糖尿病には「六味地黄丸」を用いることが多い。手足の冷え、舌淡、脈沈微、腰痛など腎陽不足の症状をともなうときは「八味地黄丸」を用いるとよい。

◇慢性喘息・咳

長年発作をくりかえす慢性の喘息、慢性気管支炎などでは、腎の納気機能が低下し(腎不納気)、呼気より吸気が困難となり、少しの動作でもゼイゼイする症状が現れるこうした症状には補腎薬が必要である。特に腎の納気作用を増強できる肉桂を用いると効果的である。痰が白く、薄いなどの寒盛症状に適している。

慢性の喘息と慢性気管支炎の予防には発作前に服用するとよい。

◇陽萎

インポテンツは腎陽虚に属することが多い。「六味地黄丸」の組成生薬で腎精を補益し、附子と桂枝を用いて腎陽を温補させることにより、性機能を高めることができる。

腎精を強力に補いたいとき+「海馬補腎丸」(温腎強精)

神経衰弱による陽萎のとき+「柴胡加竜骨牡蛎湯」(疏肝安神)

◇不妊症

男女の不妊症の治療には腎陽不足を補う本方を使用する。特に腰痛、冷え、舌淡、脈遲など、陽虛寒盛の症状がみられる場合に適している。

男性不妊症には+「海馬補腎丸」(温腎強精)

女性不妊症には+「温経湯」(温経活血)

◇レイノー病

手足末端が冷える主症状には、補陽作用をもつ本方がその効果を発揮する。

冷えが強いとき+「当帰四逆湯」(養血温経、散寒)

痛みがあるとき+「疎経活血湯」(活血通絡)

●注意事項:温補剤なので、舌紅、苔黄、口渇、微熱など虛火症状がみられるときには不適当である。

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