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手足腰の痛み・しびれ・冷えに八味地黄丸(はちみじおうがん)

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八味地黄丸は、手足腰の痛み・しびれ・冷えなどの症状に用いられる漢方薬です。その他にも、高齢者の喘息、夜間頻尿、痒み、排尿困難、尿漏れ、口渇などの症状にも使用されます。

今回は、八味地黄丸がこれらの症状に対して、どの様に効くのかを、漢方医学の概念を用いて解説していきます。手足腰の痛み・しびれ・冷えなどの症状でお困りの方はぜひ参考にしてください。

 

手足腰の痛み・しびれ・冷えの原因は「腎陽」の不足

手足腰の痛み・しびれ・冷えなどの症状は腎陽虚(腎陽の不足)という状態が原因だと考えられています。まずは、漢方薬がこれらの症状にどのように効くのかを考えるうえで重要となってくる、「腎」と「腎陽」という概念について解説します。

腎とは

漢方医学では、心、肺、脾、肝、腎の5つの臓器のことを五臓といいます。この臓器は現代医学でいうところの臓器にとどまらず、精神面も含めた体の様々な生理機能も含んだ漢方(中医学)ならではの概念です。腎は、腰部の左右にあり、水液をつかさどります。その他にも、他の臓器を潤し温める機能などがあります。今回のテーマに関係のある他の臓器には「肝」があります。腎と肝は互いに影響し合っています。

また「精」という、人体の生命活動を維持するための栄養物を蓄える役割もあります。精を蓄える腎の機能が低下すると、肝に悪影響が及びます。

 

腎陽・腎陰とは

漢方医学では「陽」と「陰」の対立する概念があり、病気は両者のバランスが崩れた時に起こると考えられています。

そして陰と陽の概念は各臓器にも当てはめられ、腎の場合には腎陽と腎陰と呼ばれます。腎陽には、人体の各組織・器官を温める作用があり、腎陰には、人体の各組織・器官を養い潤す作用があります。

手足腰の痛み・しびれ・冷えの原因は腎陽の不足

前述の通り、腎陽には人体の各組織・器官を温める働きがあります。長期の疾患や老化などにより腎陽が不足すると、身体が冷えます。身体が冷えることで、痛みやしびれが生じます。

なお、腎は腰部にあることから、腎陽が不足すると腰が冷えます。さらに、腎陽の不足は全身の陽気の不足につながり、手足の冷えを引き起こします。

八味地黄丸を用いる症状・含まれる生薬

八味地黄丸を用いる症状

八味地黄丸は、手足腰の痛み・しびれ・冷えだけに効くわけではありません。一般的に、下記の症状に用いられます。

疲れやすくて、四肢が冷えやすく、尿量減少または多尿で、ときに口渇がある次の諸症:下肢痛、腰痛、しびれ、老人のかすみ目、かゆみ、排尿困難、頻尿、むくみ

八味地黄丸に含まれる生薬

八味地黄丸は、下記の7つの生薬により構成されています。

  1. 地黄
  2. 山茱萸
  3. 山薬
  4. 沢瀉
  5. 茯苓
  6. 牡丹皮
  7. 桂皮
  8. 附子

八味地黄丸が効く仕組み

八味地黄丸は、腎陽の不足を補うことで諸症状を改善します。この仕組みについて漢方医学の観点から解説します。

地黄・山茱萸・山薬が腎陽の不足を補う

地黄(じおう)、山茱萸(さんしゅゆ)、山薬(さんやく)は腎精を生み出し補うと考えられています。また、桂皮(けいひ)、附子(ぶし)が腎陽を温め、腎の働きを強める役割があります。これにより身体が温まり、冷えに起因する痛み・しびれが改善します。

また地黄、山茱萸は肝の血を補う作用もあり、かすみ目、かゆみが改善します。

沢瀉・茯苓が腎・膀胱の働きを改善・水の代謝を正常化する

腎の機能が低下することで尿量が減少し、膀胱の機能が低下することで排尿困難・頻尿などの症状が現れます。沢瀉(たくしゃ)、茯苓(ぶくりょう)には、腎・膀胱の働きを助ける働きがあります。この働きにより、尿に関わる諸症状が改善します。さらに、腎・膀胱の機能が改善し、水の代謝が正常化することで、むくみ、口渇(口の渇き)などの症状が改善されます。

八味地黄丸を服用する際の注意点と副作用

八味地黄丸は、長期間服用し、効果はゆっくりと現れます。症状が強い時にだけ服用(頓服)することはまずありません。

附子が含まれるため、小児に使用されることは稀です。子供に対しては、八味地黄丸から附子と桂皮を除いた六味丸が用いられます。足腰のしびれやむくみが強い場合には、八味地黄丸に利尿作用のある牛膝(ごしつ)、車前子(しゃぜんし)を加えた牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)が使用されます。

下記の副作用が出た場合には、速やかに服用を中止し医療機関を受診しましょう。

  • 過敏症:発疹、発赤、瘙痒(かゆみ)等
  • 肝臓:肝機能異常
  • 消化器:食欲不振、胃部不快感、悪心、嘔吐、腹痛、下痢、便秘等
  • その他:心悸亢進(心臓の鼓動を前胸部に感じる不快感)、のぼせ、舌のしびれ等

自分の体質に合った漢方薬を選んでより健康な生活を

今回は、手足腰の痛み・しびれ・冷えの原因と、八味地黄丸がこれらの症状に効く仕組みについて解説しました。八味地黄丸は、腎の機能の異常(腎陽の不足)と、それに付随する症状に対して、複数の生薬によりアプローチする漢方薬です。その他にも、高齢者の喘息、夜間頻尿、痒み、排尿困難、尿漏れ、口渇などの症状に使用されます。

八味地黄丸は、薬局・ドラッグストアでも簡単に手に入れることができますが、痛み止めの飲み薬のように飲めば誰にでも同じように効くわけではありません。そこで大事なのが的確な診断です。セルフチェックにより、使用する漢方薬をある程度絞り込むことはできても、総合的な判断には豊富な知識と経験が求められます。自分だけで漢方薬を選ぶよりも、医師や漢方に精通した薬剤師などの専門家に相談することをおすすめします。

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