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麦芽(ばくが)/おおむぎ(大麦)の生薬解説はこちら

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中近東あるいは中国が原産とされている、イネ科のオオムギ(㊥大麦Hordeumvulgare)の発芽した穎果を用いる。ただし、原産地については明らかでない。オオムギはヨーロッパでは有史以前から主食のひとつで、世界各地で栽培され、日本にも3~4世紀に伝えられた。オオムギはグルテンを含まないためパンはできず、現在ヨーロッパでは食用ではなく、飼料やビール、ウィスキーの醸造用として栽培されている。日本でも押麦にして米と混炊して食用にすることもある。オオムギの果実(種子)を生薬では大麦(だいばく)という。オオムギを水に浸し、発芽して3~5mmになった後、取り出して日干しにしたものが麦芽である。麦芽にはデンプンや麦芽糖、タンパク質のほか、アミラーゼ、プロテアーゼ、マルターゼ、ビタミンB群、さらにアルカロイドのホルデニン、毛根には毒素のカンジシンが含まれている。カンジシンには筋弛緩作用があり、そのために家畜が中毒することがある。麦芽はデンプンの消化剤、ジアスターゼの原料として用いられている。漢方では消食・健胃・退乳の効能があり、消化不良や食欲不振、腹部膨満感、嘔吐、下痢、乳房の腫れなどに用いる。これらの効能は麦芽に含まれる消化酵素やビタミンB群などと関係していると思われる。消化不良や食欲不振には山査子や神麹などと配合する(焦三仙)。

また滋養作用もあり、とくに小児の胃腸障害に適している(保和丸)。乳児で吐乳するときには麦芽だけを煎じて服用させる。眩暈症の治療に用いる半夏白朮天麻湯には胃腸を整える目的で麦芽が配合されている。何らかの理由で授乳を中断させ、乳房が張って痛むのを治療するときには、生麦芽を弱火で焦がした炒麦芽を、やや多量に煎じたり、粉にして服用する(麦芽煎)。(麦芽)

処方用名

麦芽・生麦芽・炒麦芽・焦麦芽

基原

イネ科GramineaeのオオムギHordeumvulgareL.の発芽させた穎果(もみ)

性味

甘、平

帰経

脾・胃

効能と応用

①健脾開胃・行気消食

食積の腹満・厭食には、神麴・山楂子などと用いる。

脾胃虚弱の食欲不振には、党参・白朮などと使用する。

②舒肝

肝気鬱滞による胸脇部が脹る・噯気などの症候に、川楝子・青皮などと用いる。

③回乳

乳汁が鬱滞して乳房が脹って痛んだり、授乳を中止する必要がある場合に、生麦芽60~120gを煎服する。

臨床使用の要点

麦芽は甘平で、主に消散に働いて消食・舒肝化滞・回乳の効能をもち、兼ねて健脾和胃する。宿食不消の脘悶腹脹・肝気不舒の脇脘脹悶・乳汁鬱積による乳房脹痛に用い、消食の面では米・麵・薯・芋などでんぷん質の積滞に適する。

参考

①舒肝・回乳には生用し、消食には炒用する。

②麦芽・萊菔子は麵食積滞を消導する。萊菔子は下気除脹・化痰の効能ももち、食積気滞の脹悶不舒や瀉痢後重および咳嗽痰喘に用いる。麦芽は作用が緩和で健脾開胃にも働く。

用量

9~15g、大量で30~120g、煎服。

使用上の注意

回乳に働くので、授乳期には使用しない。

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