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桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)

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「桂枝加竜骨牡蛎湯は気持ちを落ち着かせます」

処方のポイント

初期の寒気の感冒に用いられる桂枝湯に、精神を安定化させる竜骨・牡蛎を加えたもの。精神不安や不眠等の神経症に適応する。

また、驚きやすく動悸がする、頭部が冷え冷えとし脱毛が多い等の症状にも応用。甘辛味で、温服が効果的。

桂枝加竜骨牡蛎湯が適用となる病名・病態

保険適応病名病態

効能または効果

下腹直腹筋に緊張のある比較的体力の衰えているものの次の諸症:小児夜尿症、神経衰弱、性的神経衰弱、遺精、陰萎。

漢方的適応病態

気血不足・虛陽浮越。すなわち、不安感、不眠、動悸、多夢、夢精などの虚陽浮越の症状に、元気がない、食が細い、しびれ、顔色がわるいなどの気血不足の症候を伴うもの。

桂枝加竜骨牡蛎湯の組成や効能について

組成

桂枝9芍藥9生姜9甘草6大棗6竜骨9牡蛎9

効能

調補陰陽・収斂固渋

主治

陰陽両虚・失精

〇調補陰陽:陰陽を調節しながら補益する治法である。

〇収斂固渋:収斂性のある生薬を用いて精液の流出を防ぐ治法である。

〇失精:精液の流失を指している。

解説

桂枝加竜骨牡蛎湯は陰陽の不足と失調によって生じた精気に関する諸病証を治療する処方である。

適応症状

◇少腹部の拘急痛・陰頭寒

少腹部(下腹部の両側)と陰頭(陰茎の先)は肝経に属する。慢性的に精液が流失し、腎精と肝血が消耗されると、肝は筋を養うことができなくなる。さらに寒邪が虚している肝経に侵入すると、少腹部のひきつり、疼痛および陰頭の冷えなどがおこる(寒は収縮・痛を主る)。

◇失精・夢交

失精は遺精ともいい、夢をともなう夜間の夢精と昼間の滑精があり、夢交は女性の

失精症状である。主として陽気の不足によって精を固渋できないために生じる症状である。

◇眩暈・脱毛

「腎の華は髪にある」「髪は血の余り」とあるように、精が流失して体内の精血が不足すると、脱毛しやすくなる。また、腎精が脳を滋養できないため、軽い眩暈がおこる。

◇舌淡・苔白

淡舌は虚症を示し、白苔は寒の存在を示す。

◇脈虛緊

精血が不足して脈を充満することができないと、虚脈がみられ、寒カが強いときには緊脈がみられる。

桂枝加竜骨牡蛎湯は「桂枝湯」に竜骨、牡蛎を加えた処方である。桂枝は体内の陽を温通し、白芍薬は体内の陰を補い、この2薬によって陰陽を調節できる。さらに白芍薬は酸味によって陰を収斂し、竜骨、牡蛎の固渋作用を増強する。竜骨、牡蛎はその渋味によって精液の流失を収斂する。また、質が重い薬なので、虛陽の亢進を鎮静、安神させ、不安感多夢などの精神症状に対しても効果がある。

臨床応用

◇性神経衰弱症

収斂作用が強く、精の流失を防ぐことができる。夢精、夢交、精力減退、インポテンツなどに用いる。陰陽を調補する作用もあるので、陰陽失調に起因する陽萎(インポテンツ)に用いることもできる。

 腰痛、耳鳴、健忘(腎虛)のとき+「六味也黄丸」(滋陰補腎)

桂枝加竜骨牡蛎湯は性質が温に偏るので、ほてり、口渇、舌紅、無苔、脈細数など嘴虚火旺の症状がみられる夢精、夢交には不適当である。

◇鬱病

陰陽失調による憂鬱、イライラ、発汗、動悸、自律神経失調症、更年期症候群などの精神症状に用いる。

 肝鬱症状が強いとき+「加味逍遥散」(疏肝健脾、養血清熱)

◇夜尿症

竜骨と牡蛎の収斂作用により、夜尿を固渋することができる。腎虚の症状が顕著でない、神経性の小児夜尿症に適している。

◇産後の発汗

出産により陰陽の双方が消耗されると、汗が出て止まりにくくなる本方中の「桂枝湯」は営(陰)と衛(陽)に作用し、特に体表の陰陽を調えることができ、さらに竜骨と牡蛎は固渋作用によって汗を止める。

注意事項

桂枝加竜骨牡蛎湯には清熱作用がないため、発熱、口渇、舌紅苔黄などの熱症状がみられる場合は使用してはならない。

 

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