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寒気があり発熱、発汗がある場合に桂枝湯(けいしとう)

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「桂枝湯はからだを温めて寒気を追い出します」

処方のポイント

発汗作用のある桂皮、血液を補い止痛作用のある芍薬、消化噐を温め補強する大棗・生姜・甘草で構成。寒気のある初期の感冒に使われる。寒気の感冒には葛根湯や小青竜湯が著名だが、桂枝湯は寒気があり発熱、発汗がある場合に適応。甘辛味で、温服が効果的。

桂枝湯が適応となる病名・病態

保険適応病名・病態

効能または効果

体力が衰えたときの風邪の初期。

漢方的適応病態

表寒表虚。すなわち悪風、自汗、発熱、頭痛、身体痛、鼻閉、水様鼻汁、くしゃみ、乾嘔などの症状で、舌苔は白、脈は浮緩。

桂枝湯の組成や効能について

組成

桂枝9白芍薬9生姜9大棗9炙甘草6

効能

解肌発武・調和営衛

主治

外感風寒(表虚証)・営衛不和

用語解説

解肌発表

腠理がゆるんだため、表よりやや深部の肌肉に入った邪気を追い払う治法である。発表は体表の邪を発散させることで、解表とほぼ同意義であるが、解表より若干力が弱い。

調和営衛

衞気と営気の失調を調和させ、体表の邪を除去する治法である。穏やかな調和法で、強い発汗解表法が適しない表虚証に用いる。

営衛不和

衛は体表を防衛する衛気(陽)で、皮膚を温養し、汗腺を開閉することによって寒温を調節する作用がある。営は脈管内を流れる精気(陰)で、体内を護り全身を栄養し、汗の源となる。営衛不和とは、営気と衛気の不均衡状態をいい、衛と営の関係によって「衛強営弱」と「衛弱営強」の2つに分けられる。

衛強営弱

「衛強」とは肌表に侵入した風寒の邪気に対抗して、衛気が体表に集中している状態をいう。正常時、衛気は腠理の開閉を管理し、発汗を調節し、汗の源である営気を保護している。しかし、侵入してきた風寒の邪気と衛気が抗争するときは、相対的に衛気が強くなる状態を「衛強」という。、これに対し腠理が固まらず、肌表があらくなるため、営気は内を守っていることができず外に漏れ出てしまう状態を「営弱」という。「桂枝湯」の治療対象となるのは「衛強営弱」である。「衛弱営強」は主として平素から気虚である人で、自汗の症状がみられるが表邪は存在しない。

解説

桂枝湯は太陽病中風証に用いる主方である。太陽病は傷寒証と中風証に分類され、桂枝湯は表虚証の人が外から風寒の邪気を受けた場合に適する方剤で表実証には適していない。(麻黄湯を参照)

適応症状

◇発熱

表証を代表する症状の1つである。陽に属する衛気が、体表に侵入した風寒の邪気と争うために現れる症状である。

◇悪風

体表を防衛する律岚が邪気との抗争に力をとられ腠理がゆるんでしまい、風の侵入を防ぎきれなくなって、悪風の症状が出る。悪風は悪寒よりやや程度が軽い。風にあたると寒けがし、風がなければ寒けがしない場合を悪風といい、室内にいて風にあたらなくても寒けがする場合を悪寒という。

◇頭痛

衛気と邪気の闘争によって、経気のめぐりが悪くなり、痛みがおこる(不通則痛)。風邪は陽邪で上から侵入するため、頭痛が多くみられる。

◇自汗

昼間に汗が出やすい状態を示し、表虚証の主症状の1つである。皮膚の腠理がゆるむと、汗の源である営気(営俊)は内を護ることができずひとりでに外へ洩れ出てしまう。

◇舌苔薄白

舌苔薄は発症初期に現れ、舌苔白は病邪の性質が寒であることを示す。

◇脈浮緩

浮脈は表証を代表する脈象である。表が虚して汗が出ると、脈管内の営気が弱くなり、脈は緩慢となる。(緩脈は「麻黄湯1の緊脈に対していうものである)

  • 桂枝は辛温解表薬であるが、麻黄より発汗作用が弱く、表虚の汗出症状を悪化させることなく表邪を取り除く。しかし、用いすぎれば、発散過多となり営陰を損傷するおそれがあるため、白芍を配合して陰を保護する。白芍薬の収斂作用は、桂枝の辛散による正気の損傷を抑え桂枝の辛散は芍薬の酸収による邪気の封じ込めを防ぐ。両薬で一散一収して、

衛気と営陰を調和し、「扶正去邪」の方剤となる。生姜も辛温解表薬で桂枝の解肌発汗作用を増強し、衛気に作用する。大棗は甘味をもち、白芍薬の和営斂陰作用を助ける。炙甘草は生甘草にくらべ補益作用が強く、芍薬の酸味と甘草の甘味によって、津液を生むことができる(酸甘化陰)。

臨床応用

◇感冒

発熱、自汗、悪風を主症状とする感冒に適している。普段からも汗をかきやすい。虚弱体質者に用いる。

◇産後の発熱

産後や月経期間中は、出血によって気血両虚となり、衛陽が不足するため、外邪の侵入を受けやすくなる。感冒でなくても産後の発熱・多汗の症状にも用いられる。高熱の場合には辛温解表剤を投与してはならない。

◇アレルギー性鼻炎

突然透明の鼻水が多く出て、くしゃみする外感風寒の症状に用いる。特にアレルギー症状が出る前に、「桂枝湯」によって営衛を調和し、体表の抵抗力を増加して予防をはかることもできる。

〇鼻づまりの症状がひどいとき+「葛根湯加川芎辛夷」(宣肺開竅)

                                または+辛夷、蒼耳子、白芷(開竅)

〇鼻水が多いとき+「小青竜湯」(解表化飲)

◇痺証

桂枝の散寒、温経通脈作用、芍薬の柔筋止痛作用を用いて、風寒湿痺による関節痛·筋肉痛に用いることができる。解表作用があるので痺証の初期に用いることが多い。

〇痛みがひどいとき+「桂枝加朮附湯」(散寒・通絡・止痛)

                または+威靈仙、羌活独活(去風・除湿・散寒)

◇皮膚疾患

風寒の侵入によって、営衛不和、血脈不通となったしもやけ、湿疹、皮膚瘙痒症、寒冷蕁麻疹などの皮膚症状に用いる。桂枝湯は体表の営衛(陰陽)を調和し、経脈を通じさせ、根本を治療する。

〇痒みがひどいとき+「+味敗毒湯」(去風・散寒止痛)

皮膚が赤く熱感があるなど、熱症状が顕著なときは用いてはならない

◇寒性の腹痛

桂枝湯の芍薬を倍量にして飴糖を加えれば「小建中湯」の組成となり、脾陽不振、寒邪内停による腹痛を治療できる。桂枝と生姜が陽を温め寒邪を追い払い、芍薬と甘草が養血し拘急状態を緩げる、特に外感飆寒の感冒症状をともなう腹痛に適する。

注意事項

「桂枝湯」を服用した後は、少量のお粥を食べて、布団を掛け、微汗をかかせる。これを「薬汗」といい、やや准をもたち邪気を汗とともに、体外に排除できるようにする。「桂枝湯」を服用した後微汗が出て、外感症状がなくなったら、服用をすぐ止める。

(表証に現れる汗は病的症状で冷感をともなう。「病汗」という。)

また、「桂枝湯」の禁忌として生冷(生物、冷たい物は胃を損傷する)、粘滑(粘りのあるものは邪気を留める)、肉麺(肉、小麦粉は熱を助長する)、五辛(香辛料が強い辛い物は熱を助長する)、酒酪(酒、乳製品などは湿熱を生み出す)、悪臭(特殊な匂いと味をもつ食べ物は脾胃を傷める)などがある。

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