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ゼーゼーした息苦しさに木防已湯(もくぼういとう)

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「木防已湯はゼーゼーした息づかいによく使われます」

処方のポイント

水分流通を改善する防已、たまり込んだ熱を下げる石膏を中心に、呼吸器を賦活する人参、からだを温め利水する桂皮で構成される。心窩部(みぞおち周辺部)の張りを取り除いてゼーゼーした息苦しさに適応。肺水腫や胸水等にも応用される。甘辛味。

木防已湯が適応となる病名·病態

保険適応病名·病態

効能または効果

顔色がさえず、咳をともなう呼吸困難があり、心臓下部に緊張重圧感があるものの、心臓、あるいは、腎臓にもとづく疾患、浮腫、心臓性喘息。

漢方的適応病態

支飲(胸部の痰飲)。すなわち、呼吸困難、呼吸促進、浮腫、身体が重だるい、尿量減少などで、咳嗽、喀痰を伴うことがあり、甚だしければ起坐呼吸、チアノーゼを呈する。口渇、いらいら、発熱などの熱証を伴う。舌苔は黄、脈は沈緊。

木防已湯の組成や効能について

組成

防已6 桂枝3 石膏12 人参3

効能

行水散結・鎮逆補虛

主治

心下水停・痰飲上逆

◎行水散結:利水によって、堅い痰結を除去する治法である。木防已湯では、心下(胸膈部、胃脘部)に停滞している痰飲を取り除く。

◎鎮逆補虛:上逆した病邪を下へ鎮め、虚している部分を補う治法である。木防已湯では上逆した痰飲と肺気を鎮め、虚している脾気を補う。

解説

木防已湯は支飲を治療する「攻補兼施」(邪気の攻下と虚の補益を同時に行う)の処方である。

◎支飲:水気(水飲・痰飲)が胸膈部、胃脘部に停滞する病症を指している。

適応症状

◇気喘・痰飲・咳嗽

水気が胸膈部、胃脘部に停滞して,肺気の流通を塞ぎ,肺の宣粛機能が失調すると、肺気が上逆するため喘、痰、咳などの症状が現れる。

◇胸脘痞悶

水気の停滞によって気滞が生じると、胸、胃の辺りに痞悶感(つかえる、重苦しい、堅い)がおこる。

◇動悸

痰飲が上昇して心を犯した「水気凌心」の症状である。

◇舌暗・苔水滑

暗色の舌は水気が停滞して気血の運行不良となった瘀血を示し、水滑苔は水気の存在を示す。

◇脈沈

病位が裏にあることを示す脈象である。

木防已湯の組成は簡単だが、利水、温陽、清熱、補虚の役割をもつ「扶正去邪」(補虚と利水)、「寒熱兼用」(温陽と清熱)の処方である。防已の性味は苦・辛・寒である。苦味により上部の水気を下降させ、辛味により胸胃の痞悶を発散させ、寒性により水邪が熱に変わらないように抑制する。桂枝は温薬で、陽気を通じさせ、陰に属している水気を除去する”石膏は涼薬で、水飲が鬱滞することによって生じる鬱熱を清する。また、重い性質によって上逆した水飲を鎮める、人参は温薬で、虚弱な正気を補益する。体内に水邪が停滞するのは正気が虚弱しているためである。このときにはただ去邪するばかりでなく、扶正する必要もある。

臨床応用

◇気喘・息ぎれ

心肺機能の失調による気喘、息ぎれ、咳などの症状に用いる。特に心下部に痞(重圧感)をともなう場合(例えば、心臓性喘息、各種の肺性喘息)に適している。

木防已湯には利水・温陽薬が配合されているので、痰や舌苔のみられない陰虚性の喘息、息ぎれには不適当である。

◎肺性の喘息には+「小青竜湯」(散寒化飲、宣肺平喘)

◎熱性の喘息には+「麻杏甘石湯」(宣肺、清熱平喘)

◇動悸

心経に入る溫経通脈の桂枝、心気を補う人参、動悸を鎮める石膏が配合されているので、動悸症状に用いられる。

ただし、心臓疾患は長期化するものが多く、木防已湯だけで完治させることは困難なので弁証した上で他の処方を併用する必要がある。

◎浮腫がひどいとき+「苓桂朮甘湯」(健脾利水)

◎不整脈をともなうとき+「炙甘草湯」(益気養心)

◎浮腫、冷えをともなうとき+「真武湯」(温陽利水)

◇浮腫

利水消腫の防已温陽利水の桂枝が配合されているので、心臓性浮腫に用いる。

一般的な原因不明の浮腫、腎性溯重にも併用してよい。

◎利水作用を増強したいとき+「五苓散」(通陽利水)

◇痺証

去風湿薬の防已と温経散寒の桂枝が配合されているので、風湿の邪に起因するリウマチにも用いることができる。寒性の防己、石膏も配合されているので熱痺にも使用可能である、ただし、去風湿の作用はあまり強くない。

◎気虚をともなうとき+「防已黄耆湯」溢気利水)

◎熱が強いとき

+「越婢加朮湯」(清熱利水)

◎痛みが強いとき+「疎経活血湯」(活血通絡)

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