首が痛いとき腫れさえなければ問題ない
いちばん多いのが、いわゆる寝ちがえ、筋をちがえたという場合である。これは、ムリな姿勢で寝たため、頸部の筋肉が異常に緊張したり、ひっぱられることで起こる。病気というほどのものではないが、医学的にいえば、項筋(こうきん)・胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)のけいれんなのである。軽いものなら一~二日、長びいても一週間くらいで自然に治る。
考えられる病気
単に首が痛い・こるという程度なら、あまり問題はないが、はれてきた場合はバセドウ病(のどぼとけの下あたりがはれる)・急性リンパ腺炎・癤(せつ)や癰(よう)(悪性のおでき)・ガンなどのおそれがあるので、ただちに医師の治療を受けることが必要である。
寝ちがえの応急手当
頸部にタオルなどを巻いて、その上から包帯で固定し、首の安静をはかる。急性期にはマッサージはしないほうがよい。この時期は冷湿布が気持ちよく、入浴は二~三日後に。
漢方は寝ちがえに卓効がある
漢方では、寝ちがえのことを失枕(しっちん)・落枕(らくちん)という。肩から首のつけねにかけて痛むという場合が多いが、次のような処方を用いる。
首が痛い、腫れに効く漢方薬
葛根湯
体力があって、胃腸が丈夫な人に。
桂枝加葛根湯
胃腸が弱く、疲れやすく、ちょっと動いてもすぐ汗をかくという人に用いる。
芍薬甘草湯
痛みがひどいときの痛みどめに。
芍薬甘草附子湯
上よりも症状が強い場合に。