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半夏(はんげ)の詳しい生薬説明ページはこちら

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日本各地、朝鮮半島、中国などに分布するサトイモ科の多年草、カラスビシャク(㊥半夏Pinelliaternata)の球茎を用いる。半夏の名は夏の半ばに花が咲く(そのころに採取する)ことに由来し、カラスビシャクの名は仏炎苞の形をヒシャクに例えたものである。畑地の雑草として生え、農家の主婦の小遣いかせぎになることからヘソクリという俗名もある。

もっとも塊茎から葉柄をとった中央の窪みがヘソのようであるという説もある。採取した球茎を水洗いしてから塩水に入れ、上皮を除去した後、塩抜きして乾燥する。生で用いると弱い毒性や刺激性があるため、中国では一般に修治した製半夏を用いる。通常、10日間ほど冷水に浸し、その後、明礬で煮て処理したものを清半夏(せいはんげ)、明礬や甘草、石灰で処理したものを法半夏(ほうはんげ)、明礬と生姜で煮て処理したものを姜半夏(きょうはんげ)という。生の半夏を用いるときには生姜と配合して煎じる。半夏を口に含むとエグ味が強く、チクチクと口腔粘膜を刺激するが、これはシュウ酸カルシウムの針晶あるいはジグリコシリックベンズアルデヒドが原因ではないかといわれている。半夏の成分にはホモゲンチジン酸、ジヒドロキシベンズアルデヒド、エフェドリン、コリンなどが含まれ、鎮嘔、鎮咳、唾液分泌亢進、腸管内輸送促進などの薬理作用が報告されている。漢方では理気・止嘔・祛痰の効能があり、悪心、嘔吐、消化不良、咳嗽、喀痰、不眠などに用いる。半夏の性質は温で燥湿の作用もあるため胃内停水などの痰飲や嘔吐の常用薬である、なお半夏の毒性による口腔内のしびれ感や灼熱感、嗄声などには生姜を用いるとよい。

①健胃作用

悪心や嘔吐などに用いる。とくに胃寒による嘔吐に適する。悪阻などによる悪心や嘔吐には生姜・茯苓と配合する(小半夏加茯苓湯)。胃腸炎による嘔吐、下痢、腹鳴には黄芩・人参などと配合する(半夏瀉心湯)。胃腸が虚弱で食欲不振や胃内停水、倦怠感のあるときには人参・白朮などと配合する(六君子湯)。胃腸が虚弱でしばしば眩暈や頭痛を繰り返すときには人参・白朮・天麻などと配合する(半夏白朮天麻湯)。老人などの虚寒性の便秘に硫黄と配合する(半硫丸)。

②去痰作用

咳嗽や喀痰に用いる。とくに痰の多い湿痰の咳嗽に適する。気管支炎などで痰が絡むような咳嗽には五虎湯に陳皮・茯苓などと配合する(五虎二陳湯)。気管支喘息の喘鳴発作や痰が多いときには麻黄・細辛などと配合する(小青竜湯)。熱病の後も気分がすぐれず痰が多く、煩躁や不眠の症状のみられるときには竹筎・柴胡・陳皮などと配合する(竹筎温胆湯)。夜間の咳嗽や痙攣性の咳嗽で痰が少ないときには麦門冬・人参などと配合する(麦門冬湯)。

③理気作用

抑うつ症状、神経症状に用いる。咽喉神経症などで咽に異物感があるときには厚朴・蘇葉などと配合する(半夏厚朴湯)。神経症などで気分がすぐれず、食欲不振や不定愁訴のみられるときには青皮・茯苓などと配合する(分心気飲)。

処方用名

半夏・生半夏・製半夏・清半夏・姜半夏・法半夏・半夏麴・竹瀝半夏・ハンゲ

基原

サトイモ科AraceaeのカラスビシャクPinelliaternataBreitenbachの塊茎の外皮を除去して乾燥したもの。

性味

辛、温。有毒

帰経

脾・胃

効能と応用

 

方剤例

燥湿化痰

①二陳湯・半夏白朮天麻湯

湿痰の咳嗽・多痰・胸苦しいなどの症候、あるいは痰濁上擾のめまい・動悸・不眠・悪心などの症候に、陳皮・茯苓・蒼朮・天麻などと用いる。

②温胆湯・清気化痰丸

なお、熱証をともなうときには、黄芩・栝楼・竹筎・竹瀝などを配合する。

③玉壺丸・青州白丸子

風痰による嘔吐・頭痛・めまい・肢体のしびれ・顏面神経麻痺・半身不随などの症候には、天南星などと用いる。

降逆止嘔

①小半夏湯・小半夏加茯苓湯

胃寒や痰飲の嘔吐には、生姜・茯苓などと用いる。

②大半夏湯・乾姜人参半夏丸・六君子湯

胃虚の嘔吐には、党参・生姜などと使用する。

④黄連橘皮竹筎半夏湯・温胆湯

胃熱の嘔吐には、黄連・竹筎などと用いる。

消痞散結

①半夏瀉心湯

痰熱による心窩部の痞えに、黄連・乾姜などと用い辛開苦降する。

②小陥胸湯

熱痰による小結胸で心窩部に圧痛があるときは、黄連・栝楼などと用いる。

その他

半硫丸

行湿通腸の効能をもつので、老人の虛秘に硫黄と使用する。

生半夏を外用すると、皮膚化膿症に有効である。

臨床使用の要点

半夏は辛散温燥し、水湿を行らせ逆気を下し、水湿を除けば脾が健運して痰涎は消滅し、逆気が下降すると胃気が和して痞満嘔吐は止むので、燥湿化痰・和胃消痞・降逆止嘔の良薬である。それゆえ、脾虚生痰の多痰、痰濁上擾の心悸・失眠・眩暈、痰湿犯胃の悪心嘔吐・飲食呆滞・心下痞結にもっとも適する。

また、適当な配合を行えば、痰湿挟熱の咳喘・胃虚や胃熱の嘔吐・痰湿入絡の痰核などにも使用できる。このほか、行湿通腸するので老人虛秘にも効果がある。生半夏を外用すると癰疽腫毒を消す。

参考

生用すると消腫散結に働く。生用では毒性が強いため、一般には炮製した製半夏を使用する。

製半夏には、以下のようなものがある。

清半夏

冷水に浸し頻回に水をかえて、なめても口がしびれない程度とし、乾燥したのち明礬と煮る。化痰燥湿にすぐれている。

姜半夏

水浸したのち生姜・明礬と煮る。降逆止嘔にすぐれている。

法半夏

水浸したのち甘草煎湯と石灰の混合液につける。毒性がないが、有効成分も消失するという説があり、あまり用いない。

半夏麹

半夏の粉末を小麦粉と混ぜ、生姜汁を入れて塊状にねり、発酵させる。

化痰消食にすぐれている。

竹瀝半夏

竹瀝と煮る。化痰清熱にすぐれている。

用量

3~9g、煎服。外用には適量。

使用上の注意

①内服には製半夏を使用する。生半夏を用いる場合は、必ず等量の生姜と同煎する。

②辛散温燥であるから、陰虛の燥咳・傷津の口渇・出血には禁忌。

③烏頭に反する。

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