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葛(クズ)の食材としての効果、効能

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▼発汗、解熱、鎮痛

昔は子どもが風邪を引くと、すぐ葛湯をなめさせられたそうだ。食べさせられたと云うべきだろうか。葛粉を濃く水で溶いたあと、ちょっと砂糖を加え、熱湯を注いで撹拌したのが葛湯である。そのころの親は、風邪を引いてもすぐ薬を与えて、治るまでのませ続けるなんていう無茶はしなかったのである。

葛(クズ)とは

葛(クズ)はマメ科の多年草。万葉の昔から「秋の七草」の一つとして親しまれてきた。秋の野に咲き出る花は赤紫色で初夏にみるフジの花と似ているが、あれほど豊かではない。「わが行けば露とびかかる葛の花」とあるように、何となく寂しさの漂う花だ。葛(クズ)は全体が蔓性の植物だけに、荒々しい感じに映るのだろう。

温帯地方に広く分布する葛(クズ)の根は太くて長い。秋の終わりには直径が20センチ近く、長さは1.5メートルにも育つ。根を掘り取るのは冬がよい。最も澱粉が豊富で有効成分にも恵まれるからだ。肥大した根のコルク皮を剥いで五ミリ平方ぐらいに細かく刻み、日干しにする。こうして得た生薬を「葛根」という。

葛(クズ)の効果、効能

葛根の成分は良質な澱粉のほかフラボノイドが確認されているが、詳しくは解明されていない。しかしイソフラボン体には鎮痙、発汗、解熱の作用があり、風邪薬として有名な葛根湯は葛(クズ)の澱粉が主剤だ。風邪だけでなく急性胃腸炎、五十肩、頭痛、肩凝りなどにも用いる。

葛根の効用として『神農本草経』には、「渇を消し熱をとり、嘔吐や諸痺を治す」と出ており、『名医別録』にも「傷寒、中風、頭痛を療じ」と書いてあった。そんなわけで、漢方の風邪薬や解熱鎮痛消炎剤には葛根を配合した桂枝加葛根湯、葛根黄連黄苓湯、升麻葛根湯、参蘇飲などの処方が目立つのかもしれない。

「貧乏に馴れてぬくもる葛湯かな」という句がある。葛(クズ)の採取地区では葛湯が栄養食でもあった。古典落語に葛根湯医者が出てくるが、どんな病状にも葛根湯を与えておけば安心という時代があったのだろう。わたしはいまでも風邪気味だと葛根湯をのむ。そのあと熱燗でも飲んで早く寝てしまえば、翌朝の目覚めは快い。

最近は見なくなった

葛(クズ)の花を酒に入れて飲むと悪酔いしないという云い伝えもある。そして葛飴だの葛餅だの、思い出してみると葛(クズ)を使った食べ物もずいぶんあった。葛粉が手に入りにくくなって、それらの食べ物はどうなったのだろう。まさか小麦粉だけで仕上げた代用食に化けたりしていないことを祈りたい。

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