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地黄(じおう)の生薬解説ページ

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別名:芐(こ)・岂(き)・地髓(じずい)・レーマンニア

中国原産のゴマノハグサ科の多年草、ジオウ(㊥地黄Rehmanniaglutinosa)の根を用いる。ジオウにはアカヤジオウR.glutinosavar.purpureaとカイケイジオウ(㊥懐慶地黄var.hueichingensis)の2つの系統がある。カイケイジオウは河南省懐慶を主産地とする品種で、アカヤジオウよりやや大型であり、根の一部が肥大するという特徴がある。日本で単にジオウといえばアカヤジオウのことをいい、古名をサオヒメともいう。日本でも、古くはアカヤジオウが栽培されていたが、昭和30年代より主にカイケイジオウが栽培されるようになり、必要量のほとんどを国産品で賄っていた。しかし、現在では北海道、奈良、長野県などで僅かに栽培されているのみである。近年、武田薬品によってアカヤジオウとカイケイジオウを交配した新品種、フクチヤマジオウが開発されている。現在、日本市場に流通している地黄のほとんどは輸入品で、その多くは中国産の懐慶地黄である。ところで生薬としての地黄は、修治により生地黄(しょうじおう)、乾地黄(かんじおう)、熟地黄(じゅくじおう)に大別される。生地黄は採取後3カ月以内の新鮮な根のことで乾燥した砂の中で保存したものであり、乾地黄は日干し、あるいは加熱して乾燥させたものであり、熟地黄は新鮮な根を酒などで蒸した後で乾燥させたものである。日本産の新鮮なものをナマ地黄というが、市場には出回っていない。現在、日本薬局方ではジオウとのみ規定しているが、生地黄は流通しておらず、乾地黄と熟地黄の2種類が流通している。かつて日本漢方ではあまり熟地黄を用いなかったため、地黄といえば乾地黄のことを指す。一方、中国では生地黄と熟地黄が流通しているが、中国では生地黄を鮮地黄(鮮生地)と干地黄(干生地)に区別しており、中国で流通している生地黄(干生地)と日本に輸入されている乾地黄は、ほぼ同じものと考えられている。ちなみに『金匱要略』では生地黄と乾地黄のみが用いられており、熟地黄は宋代の『本草図経』(1058)において初めて登場する。地黄の成分にはイリドイド配糖体のカタルポール、レオヌライド、レマニオサイド、糖類のスタキオース、マンニトール、アミノ酸のアルギニンなどのほか、βシトステロール、カロテノイドなどが含まれている。地黄エキスやカタルポールには血糖降下作用や緩下、利尿作用などが認められている。生地黄から熟地黄へ修治の過程でカタルポールなどのイリドイド配糖体が消失し、フェネチルアルコール配糖体のアセトサイドやプロサイドが生成され、生地黄のスタキオースが分解して果糖などの単糖類が増加する。漢方的にも区別され、生地黄、乾地黄、熟地黄へと移行するにつれ、性味は苦甘から甘へ、大寒から微温へと変化し、効能に関しても生地黄は清熱・涼血・乾地黄は清熱・養血、熟地黄は滋陰・補血と移行する。→生地黄・乾地黄・熟地黄

処方用名

生地黄・大生地・細生地・乾生地・生地・乾地・生地炭・鮮地黄・鮮生地・ジオウ

基原

ゴマノハグサ科ScrophulariaceaeのRehmanniaglutinosaLibosch.またはその変種のカイケイジオウvar.hueichingensisChaoetSchihあるいはアカヤジオウvar.purpureaMak.の肥大根。広西省ではキク科植物の根を生地あるいは土生地として利用するので注意が必要である。

性味

甘・苦、寒

帰経

心・肝・腎

効能と応用

方剤例

清熱滋陰

①清営湯・犀角地黄湯

温熱病の熱入営血による夜間の発熱・熱感・口乾・舌質が紅絳などの症候に、玄参・犀角・金銀花などと用いる。

②増液湯

熱盛傷津による便秘に、玄参・麦門冬などと使用する。

③青蒿鼈甲湯・知柏地黄丸・大補陰丸

熱病後期で微熱が続くときあるいは慢性病の陰虛発熱に、青蒿・鼈甲・地骨皮・知母などと用いる。

陰虚の喉痛には、甘草・薄荷・山豆根などと用いる。

涼血止血

①四生丸

血熱妄行による吐血・鼻出血・血尿・血便・性器出血などに、側柏葉・茜草根などと使用する。

②犀角地黄湯

熱入営血による紫黒色の皮下出血や他の出血に、犀角・牡丹皮・赤芍などと使用する。

生津止渇

①益胃湯

熱盛傷津による口乾・口渇・口唇の乾燥・舌質が紅などの症候に、麦門冬・沙参・玉竹などと用いる。

②滋膵飲

消渇証の口渇・多飲に、天門冬・枸杞子・山薬・山茱萸などと使用する。

臨床使用の要点

生地黄は甘寒で質潤し苦で泄熱し、心・肝・腎に入り、滋陰涼血の要薬である。熱病傷陰の舌絳煩渇・便秘尿赤、陰虧血虚の心煩内熱・骨蒸・消渇・陰虚血熱の吐衄下血・発斑発疹などに適する。

参考

①新鮮品を「鮮生地(鮮地黄)」といい、乾燥させたものを「乾生地(乾地黄)」という。いずれも、性味は甘苦・寒で清熱涼血・滋陰生津の効能をもち、温病の熱入営血・熱盛傷陰・血熱妄行などに応用される。ただし、以下のような違いもある。

鮮地黄は、苦味が甘味よりも強く、性が大寒であり、清熱凉血にすぐれているので、熱入営血や血熱妄行に適している。乾地黄は、苦味より甘味が強く、滋陰養血にすぐれているので、陰虚陽亢・血虚化燥に適する。つまり、熱盛の時期には鮮地黄が、後期で傷陰があり余熱の残っている時期には乾地黄がよい。

②炒炭すると止血に働く。

③乾地黄を酒で蒸し日干しにする過程を繰り返した「熟地黄」は、性味が甘・微温に変化し、補血滋陰の効能をもつ。区別して用いなければならない。

④生地黄・犀角は涼血清熱の効能をもち、血分実熱に用いるが、犀角は解毒にすぐれ、生地黄は滋陰にまさっているので、血熱毒盛には犀角が、陰血不足には生地黄が適する。

用量

15~30g、鮮地黄は倍量、煎服。

使用上の注意

脾虚有湿で腹満・泥状便を呈するときは用いてはならない。

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