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木香(もっこう)の生薬解説はこちら

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別名:唐木香(からもっこう)、蜜香(みつこう)・インド木香・広木香(こうもっこう)・云木香(うんもっこう)

インド北部、カシミール付近の高山地帯に産するキク科の大型の多年草、モッコウ(雲木香Saussurealappa)の根を用いる。中国では雲南・四川・広西省などで栽培され、近年、日本でも試作に成功している。モッコウは草高が1mくらいでアザミのような花が咲き、根に蜜のような芳香があるためその名がある。この木香を日本では唐木香、インド木香などと呼ぶが、中国では広東経由でインドから輸入されていたため広木香という。近年、野生種のモッコウがワシントン条約に抵触しているため、日本に輸入されているのは雲南省などで栽培された木香である。ところで中国市場には青木香(せいもっこう)、土木香(どもっこう)、川木香(せんもっこう)などと呼ばれる生薬があるが、青木香はウマノスズクサ科のウマノスズクサ(㊥馬兜鈴Aristolochiadebilis)、土木香はキク科のオオグルマ(㊥土木香Inulahelenium)、川木香はキク科の川木香Vladimiriasoulieiの根である。そのうち川木香は木香の基原植物のひとつとして扱われ、また土木香は日本でも木香の代用品として栽培されていた。ただし青木香の効能は異なるため代用にならない。モッコウの根にはセスキテルペン類のコスツノリド、デヒドロコスツスラクトン、サウスレアラクトン、アプロタキセンなどの精油成分が含まれ、中枢神経抑制作用や鎮痛、利胆、抗潰瘍、抗菌作用などが報告されている。漢方では芳香性理気薬のひとつで、理気・止痛・健胃の効能があり、おもに胃腸の気を調え、胸や腹の脹満感や痛み、嘔吐、下痢、疝気(下腹部痛)などに用いる。一般に気滞には生で用い、下痢にはあぶって用いる。→青木香・土木香

①健胃整腸作用

下痢や消化不良に用いる。胃腸虚弱体質で腹部膨満感や腹痛の強いときには六君子湯に木香・縮砂を加える(香砂六君子湯)。冷えによる慢性の下痢症で嘔吐や腹痛のみられるときに良姜・乾姜などと配合する(良姜湯)。酒の過飲による下痢や腹痛に黄連・葛根などと配合する(連葛解醒湯)。急性の消化不良で腹部膨満感や腹痛の強いときに檳榔子・陳皮などと配合する(木香檳榔丸)。便秘で大黄などの瀉下薬を投与しても便意があるだけで排便しないときに烏薬・枳実の理気薬などと配合する(寛快湯)。また補益剤に木香を加えて消化機能を促進させる(帰脾湯)。

②止痛作用

腹痛に用いる。婦人の腹痛や寄生虫などによる諸々の臍下部痛に三稜・莪朮などと配合する(七気飲)。左の脇腹が筋ばって痛むときには当帰・芍薬・柴胡などと配合する(和肝飲)。ヘルニアなどによる下腹部や陰部の疼痛、婦人の乳房痛に烏薬・茯苓などと配合する(烏苓通気湯)。

処方用名

木香・広木香・雲木香・煨木香・モッコウ

基原

キク科Compositaeのトウヒレン属植物SaussurealappaClarkeの根を正品とする。異物同名品が多く注意が必要である。

性味

辛・苦、温

帰経

肺・肝・脾・胃・大腸・三焦

効能と応用

方剤例

行気止痛

①木香調気散・香砂ニ陳湯

胃腸気滞の腹満・腹痛・悪心・嘔吐などの症候に、砂仁・藿香・陳皮などと用いる

②香連丸・木香檳榔丸

食積や湿熱による腹満・腹痛・便秘あるいは下痢・テネスムスなどの症候には、黄連・枳実・檳榔子・大黄などと使用する。

健脾消食・止瀉

香砂六君子湯・香砂枳朮丸

脾胃気虚の気滞による腹満・悪心・少食・食欲不振・慢性の下痢などの症候に、人参・白朮・茯苓・半夏・縮砂などと用いる。

臨床使用の要点

木香は辛散・苦降して温通し、芳香で燥し、昇りかつ降り、三焦を通利して、とくに脾胃の気滞を行らせ、行気止痛の要薬であり健脾消食を兼ねる。それゆえ、胸腹気滞脹痛・嘔吐瀉痢・裏急後重・食積不消・不思飲食などに適する。

また、少量を滋補剤に配合すると、芳香宣通により滋膩重滞を防ぎ、補して滞らない効果が得られる。

参考

①生用すると行気止痛に、煨くと止瀉に働く。

②青木香はウマノスズクサ科のウマノスズクサの根で、催吐・解毒・消腫の効能をもつ。木香とはまったく異なるので、混同しないように注意すべきである。

用量

1.5~6g、煎服。丸・散として用いてもよい。

使用上の注意

①精油を含むので長く煎じてはならず、後下すべきである。

②香燥であるから、陰虚・津虚には用いない。

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