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痛み、腹痛、下痢に真武湯(しんぶとう)

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「真武湯はからだを温め、水分の流れをよくし痛みを鎮めます」

処方のポイント

からだを温め基礎代謝を活発化する附子、消化器周辺の水分の滞りを除去する茯苓・白朮(あるいは蒼朮)・生姜、止痛作用のある芍薬で構成。四肢の重だるさ、痛み、腹痛、下痢、尿量減少等の症状に適応。冷えが原因のむくみ、ふらつきにも。強い辛味で、温服が効果的。

真武湯が適用となる病名・病態

保険適応病名・病態

効能または効果

新陳代謝の沈衰しているものの次の諸症:胃腸疾患、胃腸虚弱症、慢性腸炎、消化不良、胃アトニー症、胃下垂症、ネフローゼ、腹膜炎、脳溢血、脊髄疾患による運動ならびに知覚麻痺、神経衰弱、高血圧症、心臓弁膜症、心不全で心悸亢進、半身不随、リウマチ、老人性そう痒症。

漢方的適応病態

陽虚水泛(ようきょすいはん)。すなわち、浮腫(特に下半身)、尿量減少、泥状~水様便、四肢が重だるい、冷え、寒け、口渇はない、疲れやすい、元気がない、ときに腹痛、甚だしければ腹水や胸水を生じるなどの症候。

真武湯の組成や効能について

組成

炮附子9生姜9白朮6茯苓9白芍薬9

効能

温陽利水

主治

陽虛水停

 〇温陽利水:陽気を温補することによって水湿を除去する治法である。

 〇陽虚水停:陽気が衰退して水湿が停滞した病証を示す

解説

真武湯は陰津を保護しながら、補陽制水する、「火水相済」(火陽と水陰が相互に助けあう)の処方である。民間の伝説では、真武は北方(腎)を守り、火と水を管理する神といわれている。本方剤は真武神と同様、温陽利水の作用があり、火(陽)と水(陰)を調節できるので「真」と名付けられた。

適応症状

◇小便不利

腎陽虛のために気化機能が低下すると、腎の支配を受けている膀胱の開閉機能が障害され尿量が減少して小便が出にくくなる。

◇浮腫、身重

腎は水を主っている。腎陽が虚すると、気化機能が低下して水湿が停滞する。腎陽は一身の陽気の根本なので、腎陽が虚すと、他の臓腑も陽虚になることが多い。特に水を制御する脾陽が虚弱になると、水湿の停滞はさらに進み、四肢、筋肉に溢れ出て、浮腫が生じ、体は重だるくなる。

◇下痢

水湿が胃腸に停滞すると下痢がおこる。

◇腹痛

寒は「痛」を主る疼痛は病証の性質が寒であることを示す。特に寒邪と陰邪である水湿が結びつくと腹痛は強くなる。

◇眩暈

水気(水湿)が頭部に昇り、清陽(脳)を覆うために生じる症状である。

◇動悸

水気が上焦の心を犯し、血脈を主る機能が低下すると動悸する。

◇冷え

四肢不温:体内の陽気が不足して陽気を四肢に充満することができなくなると、温煦機能が低下して冷えが生じる。

◇舌白

寒と水温を示す舌象である。

◇脈沈

病位が裏の腎にあることを示す。

炮附子は大辛大熱の性味を有し、腎陽を回復させる、本方の主薬である。陰は陽に出会うと化しやすいので、寒湿の邪気は除去される。生姜は附子の去寒作用を増強し、湿邪を除去する。白朮は健脾燥湿作用が強く、水を制し脾を調節する。茯苓は本方中の唯一の利水薬であり、水湿を尿にかえて除去する。また、甘味の茯苓は白朮の健脾作用を増強することもできる、白芍薬は酸味によって陰を保護し、附子や白朮の燥性を和らげる。芍薬は体内の正常な陰分を保護するだけで、病理的な陰水の邪気を収斂する心配はない。「本経」の記載によれば白芍には利水の作用もある。

臨床応用

◇浮腫

脾腎陽虛に起因する各種の慢性浮腫に使用することが多く、下記のような場合は他剤と併用して用いられる。

 腎性洲のとき+「六味地黄丸」(補益肝腎)

 心性浮腫のとき+「苓桂朮甘湯」(通陽、健脾利水)

 肝性浮腫のとき+「加味逍遥散」(疏肝健脾)

 または+「冠元顆粒」(活血化瘀)

 または+「当帰芍薬散」(養血・活血、利水)

◇関節痛

附子の散寒・去湿作用、芍薬の柔筋止痛作用、白朮の去風湿の作用を利用して、風寒湿痺による関節痛を治療できる。特に関節が冷えて重く、痛みが強い症状に適している。

 腫れ疼痛の症状が重いとき+「防已黄耆湯」(益気利水)

◇陽虚外感・感冒

特に肺腎陽虛の場合は、防御機能が低下するためカゼをひきやすくなる。方中の附子、生姜によって温陽散寒することができる。

◇咳嗽・喘息

水寒の邪気が肺を犯したことによって生じる、強い咳、痰が薄く白い、量が多いなどの寒痰症状には「小青竜湯」(温肺化飲)を併用して、本治と標治を同時に行ことができる。

慢性気管支炎、慢性喘息に腰痛、、ぎれなどの肺腎両虚の症状が現れているときに適している。

◇下痢

腹部が冷える、強い腹痛、舌質淡白などの症状をともなう慢性胃腸炎、過敏性大腸炎に用いることができる。附子の温陽散寒作用、芍薬の緩急止痛作用、茯苓の利水作用、および白朮の健脾止痢作用が効果を発揮する。

 疲労、下痢の症状が強いとき+「六君子湯」(健脾益気、化痰)

               または+「補中益気湯」(補中益気)

◇眩暈

水飲の邪気が上昇し、清陽の集まる頭部を攪乱する眩暈に用いることができる。特に手足の冷え、耳鳴、顔面蒼白、腰痛などの腎陽不足をともなうときに適する。メニエール症候群に用いることもある。

 眩暈の症状が強いとき+「半夏白朮天麻湯」(化痰止眩)

注意事項

真武湯は温熱剤であるため、寒邪・水邪の症状がみられないときは禁忌とする。

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