いつも出切らず近い場合が問題
個人差や季節差はあるが、成人の一日平均回数は約五回である。ときには、精神的なものにも影響される。よく試験の前や、人前に立つときにトイレが近くなるのは、だれもが経験するところである。
考えられる病気
尿が近くなるのは、尿の量が多くなることとも関係している。「尿が多い」の項
もあわせて参照していただきたい。ところが、一回の量は少ないくせに、いつも出切らない感じがして、尿が近いという場合がある。膀胱(ぼうこう)の腫瘍(しゅよう)・結石(けっせき)・萎縮(いしゅく)などでその容積が小さくなっているか、前立腺肥大や尿道狭窄(にょうどうきょうさく)があって、尿の排出が妨げられている場合、あるいは膀胱の炎症による刺激などが考えられる。もっとも、神経的なものや妊娠中でも起こることがあるので、病的なものとそうでないものの区別をつけておく。
漢方は老人なら八味丸
頻尿にも利水剤を用いる。「尿が多い」参照。
尿が近い(トイレが近い)人の漢方薬
八味丸
老人性の頻尿に一般に用いる。ただし疲労倦怠感はあるが、胃腸は丈夫な人に。
猪苓湯
尿が近く、そのくせ出がわるく、排尿痛もともなうものに。
竜胆瀉肝湯(りゅううたんしゃかんとう)
膀胱や尿道、またはその周囲に炎症がある場合に用いる。
大黄牡丹皮湯
膀胱や尿道、またはその周囲に病変があり、便秘の傾向がある人によい。