発作的な顔面の痛み
顔の神経痛というと、すぐ顔面神経痛というふうに考えてしまうが、こういう病名の病気はない。顔の表側の神経痛は、三叉神経痛である。三叉神経は顔面に広く分布し、この部分の運動や知覚を支配するもので、大脳の中枢から出て、三つに枝分かれする。第一枝を眼神経、第二枝を上顎(じょうがく)神経、第三枝を下顎(かがく)神経という。
三叉神経痛(さんさしんけいつう)の症状
三叉神経痛は第二枝または第三枝のどれか、あるいはその両方がおかされることが多く、第一枝がおかされることは少ない。発作(ほっさ)は春・秋に多く、刺すような、えぐるような、焼きつくような痛みで、その持続時間は数秒から数分と短い。発作のないときは、まったく痛みがないのも特徴である。
三叉神経痛の原因は、まだくわしくわかっていないが、発作は会話・食事・寒冷刺激・あくび・患部を下にして寝るなどによって誘発されやすい。また、歯・耳・鼻の病気、かぜ、過労やストレスなどが誘因になることもある。
漢方では体質改善をはかる処方
三叉神経痛には、鎮痛剤は効かない。発作をしばしばくりかえすので、漢方で体質改善をはかる。
三叉神経痛に効果のある漢方薬
葛根湯
体力がある人の、かぜによるものに。
麻黄湯
かぜで、寒けがして、熱もあるとき。
桂枝加朮附湯
虚証タイプで、顔色もわるく、胃腸が弱くて、からだがやせて、元気のない人に。
当帰芍薬散
貧血で、冷え症の女性によい。