お産のあとの生理的状態
膣は子宮頸部(入り口)につながる女性生殖器で、性交によって精液が射出されるところであり、また分娩(ぶんべん)にさいしては産道ともなる。その広さ(幅)は、夫婦生活に入った女性で二指を通じる大きさだが、産道としては直経一〇センチの児頭を通過させるほどの大きな拡張にも耐える。
分娩後、すみやかに回復するが、膣粘膜のしわが失われるため、完全に元どおりにはならない。これが広がった状態であり、分娩回数や妊娠中絶回数が多くなると、それだけ膣の幅は広くなる。
当然の生理的状態ではあるが、そのために男女とも性感が薄くなり、ときには夫婦間の性的な不調和をもたらすことがある。
膣(ちつ)が広がった場合の漢方薬
当帰芍薬散
虚弱で、貧血・冷え症の傾向があり、小便近く、めまい・肩こり・耳鳴りのある人。
加味逍遙散
上よりも虚弱ではないが、貧血・冷え症があり、下腹部が痛み、神経症状強い人に。
桂枝茯苓丸
比較的体力があり、のぼせやすく、肩がこり、鼻血が出やすく、顔に赤みの多い人に。
桃核承気湯
上の症状で、便秘する人に。
民間療法
前述で紹介したインドネシア療法「ジャムウ」の若返りに使うものが卓効がある。この薬方には筋肉をひきしめる作用があり、そのためにからだ全体が若返るのだが、膣の筋肉も収縮するのである。インドネシアでは、三人子どもを生んだら、これを飲むといわれている。