小児喘息は遺伝因子の強いアレルギー病
子どもの喘息には、アレルギーが原因で起こる気管支喘息(一歳以上の幼児期に多い)と、気管支炎に喘鳴(息をするとき、ゼーゼーヒューと音がする)をともなう喘息性気管支炎(一歳未満の乳児に多い)があるが、ともに小児喘息とよび、発作時の治療は共通している。
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小児喘息の症状
発作時に呼吸困難(とくに呼気)になり、発作が数十分から数時間、ときには数日つづくが、セキやタンが出ると治まる。症状がかるいうちは、少し喘鳴をともなう程度だが、重くなってくると、座って前かがみの姿勢をとらないと息が苦しくなり、さらにひどくなるとチアノーゼ(酸素欠乏によって唇が紫色になる)を起こし、生命に危険がある。一般に熱はない。
発作は睡眠中に出やすいが、天候や温度の変化とも関係があり、季節的には秋・梅雨期・春などに多く、急に冷たい外気にさらされたり、布団に入ってからだの温まったときにも起きやすい。
原因
体質的なアレルギーによるものである。ホコリ、ある種の花粉、犬や猫の毛、場合によっては毛布、ある種の薬物、特定の食品など、原因となるアレルゲンは無数にあり、体質的にこれらのものに反応を起こしてしまい、気管が収縮する病気である。遺伝因子が強い。
なお、小児喘息は男の子に多く、その半数は十四、五歳までに治るが、大人にもちこす半数のさらに三分の一が重症に悩んでいる。
漢方では体質改善に柴朴湯
現代医学では、いまだに決定的治療法をもつとはいえない、漢方で気長に(少なくとも一年以上)体質改善をはかってみるのも良いのではないでしょうか。
小児喘息におすすめの漢方薬
小柴胡湯合半夏厚朴湯(=柴朴湯)
小児喘息の体質改善に一般的に用いられる。上腹部に少しは抵抗があるが、あまり膨満のないやせ型で筋肉のひきしまった子によい。
附子人参湯
やせ型で、貧血の傾向があり、胃は弱く、冷え症の子どもに用いる。
小青竜湯
腹直筋がかたくなり、発作の前によく鼻水が出て、かぜをひくと発作を起こす子に。
麻杏甘石湯
発作時の頓服(とんぷく)として。ただし、軟弱無力な腹をしている虚証の子には用いない。
親が心がけること
たびたび発作に苦しむわが子をみていると、どうしても親は子を甘やかしがちになる。しかし、過保護になると、ますます病気を進行させることになりかねない。心身ともに鍛錬が必要なのだ。
日ごろから皮膚をきたえ、少々の温度・湿度の変化に動じないようなからだを作るには、適度の運動や日光浴、乾布摩擦(かんぷまさつ)などを欠かさないことだ。
特定の食品がアレルゲンとなることもあるので食事にはじゅうぶん注意する。とくに極端に辛いもの、甘いもの、刺激物などは厳禁。逆に、カルシウムを大量に含む食品を多くとりたい。
発作がひどいときは、背中を手のひらでさすり水を飲ませると楽になるものだ。