「せつ」と「よう」
おできは化膿菌が毛穴から入って起こる炎症で、癤(フルンケル)、癰(カルブンケル)の段階がある。せつは俗にいう「ねぶと」、毛穴を中心に赤くはれあがり、強い痛みがあり、発熱することもある「よう」は、せつが同時にいくつもとなりあって生じるもので、はれや痛みはひどくなり、高熱が出る。
化学療法が進歩した現在では、おできは昔ほどおそれる病気ではないが、からだが衰弱していたり、糖尿病があったりすると、敗血症や心内膜炎などのこわい余病を起こすので、注意しなければならない。
漢方は華岡青洲創方の十味敗毒湯
抗生物質が効きにくい人や、化膿しやすい体質の人は、おでき治療に医師の指導のもと、ぜひ漢方療法を。
おできに効果的な漢方薬
葛根湯
初期のおできで、悪寒発熱がある場合によい。
十味敗毒湯
上の症状が発散したあと、解毒の目的で。この処方は、皮膚症状にしばしば登場したが、本来せつ治療のための華岡青洲の創方だ。
排膿散
おできがかたくはれて、痛みの強いものに一般的に用いる。自然に破れて、排膿を早める。
紫雲膏
おできの患部が破れたあとに貼用する外用薬。肉芽の新生を早めるための華岡青洲の創方。
防風通聖散
太鼓腹の肥満者で、便秘がち、次次におできができる人の体質改善によい。
大柴胡湯
かたぶとりの肥満者で、みぞおちが緊張し胸苦しく、上半身におできができる人に。
小柴胡湯
上の症状で、ふとっていない人に。