母乳は「出す」ものである
お乳が出ないのは、九〇パーセント以上が母親の努力不足である。母乳は出るものではなく「出す」ものだからだ。病的なものは乳腺炎(にゅうせんえん)だけで、この場合は乳房がはれあがって痛み、熱が出る。
お乳が出ない時の対応
分娩後二~三日で、ふつうは乳房が張ってくる。そして、赤ちゃんがこれを繰り返し吸うことで、乳汁分泌はじゅうぶんになるはずだ。ところが、お乳の張りが弱いからと人工栄養にきりかえたりすると、分泌力は弱まり、たちまちお乳は出なくなる。張りが弱かったら、乳房のマッサージや温湿布を繰り返し、むやみに人工栄養にとびついてはいけない。なお、お乳を出すためには、妊娠中からの準備も必要である。
漢方ではタンポポの根が効く
全身的に貧血や衰弱がいちじるしかつたり、強い精神的刺激などの影響で、お乳があまり出ない、出にくいというときに、漢方が有効である。
お乳が出ない時の漢方薬
葛根湯
乳房の発育はよいが、うまく出ない、寒けや肩こりがあるという人によく効く。
十全大補湯
貧血が強く、衰弱がいちじるしい人に用いると、乳が出ることがある。
蒲公英湯
乳房の発育があまりよくない人に、分娩直後から用いるとよい。
民間療法
上の蒲公英というのは、タンポポの根である。根の部分が最も有効だが、いささかヤ二っぽいので、花や葉をもいで、おひたし、ごまあえなどで食べる方法も古くから用いられている。