蓄膿症は思春期に多い病気
蓄膿症とは、副鼻腔(ふくびこう)(鼻腔のまわりの骨の空洞)に膿がたまる(蓄膿)病気である。急性のものと、慢性のものがあり、前者はかぜによってひき起こされることが多く、鼻づまりのあと、濃い鼻汁が臭くなってくるのがふつうだ。
このほかに、ほおやひたいのあたりに圧迫感があり、頭痛・頭重を訴えることも少なくない。また、根気がなくなり、記憶力や注意力が低下するのがふつうである。さらに、声がかれたり、食欲が落ちることもある。
蓄膿症は思春期に多い病気だが、年少で発病したものは治りやすいが、思春期以後ではなかなか治りにくい。
目次
蓄膿症の原因
慢性のものは、急性からの移行がほとんどだが、アレルギー体質、先天的な鼻中隔(びちゅうかく)の湾曲などもからんでいる。
この場合も、まず鼻づまりが原因である。鼻がつまれば、鼻(鼻汁)がかめない。かめないから鼻汁は鼻内の空洞にたまる。そのたまった鼻汁に、外から吸気とともに飛びこんできた化膿菌が入って、ちくのう症となるのである。
漢方を根気よく服用する
証があえば、前の項で紹介した処方を使用してもかまわない。むろん、根気よく服みつづけることが大切である。そのほかに、次のような処方がある。「かいびとう」と併用すればなお効果的だ。
蓄膿症に効く漢方薬5選
大柴胡湯
丈夫そうにみえる大柄の人で、便秘・肩こりの傾向がある人に。
補中益気湯
虚弱体質で、貧血・胃下垂などがあり、食欲不振の人によい。
麻黄附子細辛湯
鼻汁はうすく、あるいはただつまるだけの虚弱体質の人に処方する。
半夏白朮天麻湯
胃アトニーなどがあって、発作的に頭痛・めまい・吐きけを起こす人によい。
温清飲(うんせいいん)
顔色がわるく、貧血ぎみ、下半身が冷えるのに顔がほてり、鼻粘膜にかゆみのある場合。
漢方にもいくつかの流派があり、その主流は古方派(こほうは)(傷寒論・金匱要略)、後世派、折衷派である。上にに紹介した処方は、古方である。鼻には、古方の加味方(かみほう)に加えて、後世方が効果的である場合が多い。次に、その漢方処方名のみをあげておく。
柴胡清肝散(さいこせいかんさん)・荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)・辛荑清肺湯(しんいせいはいとう)・葛根湯・加辛荑川芎(かしんいせんきゅう)。
システム治療の勧め
食生活が重要なポイントである。「鼻がつまる」の項で述べたことのほか、ワカメ・コンブ・海藻・小魚・大豆・緑野菜などを多くとるようにする(火を通し、生食しない)、あるいはトーストなどのこげた食物はとらないなどを守る。
鼻洗浄方法
一日二~三回行うとよい。コップに入れたぬるま湯に塩をとき、鼻から吸って口から出すもので、これで鼻の通りをよくする。ただし、かぜぎみのときにやると、中耳炎を起こすことがあるので、医師に相談した上で行うようにする。
なお、蓄膿症やアレルギー性鼻炎に対して「一日減食法」というシステム治療がある。「かいびとう」や漢方薬、健康食品を使用するものだが、くわしくは巻末で紹介する薬局に相談してほしい。そこでは、東洋医学に基いた鼻専門の刺激法・マッサージ指圧法も指導してくれる。