PMSの症状を改善する方法とは?体質別に漢方的養生を取り入れてみよう
- 2019/1/24
- 漢方基礎知識
PMSの症状は個人差が大きく、症状がほとんど出ない人もいれば、症状が非常に重く日常生活にも支障を来たすほどの人もいます。薬などを使って対処することもできますが、軽い症状であればセルフケアである程度改善することもできます。
今回はPMSの症状とその改善法について漢方的な考え方をもとに大きく3つに分けて紹介していきます。あなたの体質に合った方法を見つけて、ぜひ取り入れてみてください。
目次
PMS症状の改善は体質がカギを握る?!体質別の改善法
PMSの症状は非常に多くの種類があると言われています。その症状の現れ方には個人差があり、同じ人でも時期や年齢によって変わってくることもあります。実は、その違いをもたらしているのが体質です。
ここでは大きく3つに体質を分けて、それぞれに適した改善法をご紹介します。
イライラや食欲増進が特徴的な「気滞」タイプ
次のような症状が特に辛いという人は、気の巡りの悪い「気滞」タイプに当てはまります。
- 生理前になると訳もなくイライラする
- 怒りっぽくなる
- お腹が空いてないのに食欲が止まらない
- 頭痛
- 熱っぽい、のぼせ
- ストレスが多い
- お腹の張り
いずれも生理前になると起こりやすい症状ですが、特にこれらの症状が強く出て日常生活に支障を来しているということであれば、何らかの対策が必要でしょう。また、気の巡りが悪い状態を放置していると、「気」の働きによって巡る「血」や「水」の流れも悪くなることにより症状が悪化してしまいます。早めに対策を行いましょう。
「気滞」タイプにおすすめの改善法
ストレスが溜まりやすい人、日頃忙しくストレスの多い生活をしている人は、気の巡りが悪くなりがちです。五臓六腑の「肝」の乱れが原因であることが考えられるため、ストレスと関係が深く、気の巡りを司る「肝」を健やかに保つような暮らしを目指すことが大切です。
日常生活では気の巡りを良くするために、軽く屋外で運動すると良いでしょう。朝は良いエネルギーが大気に充満しているので、例えば天気の良い日に早朝の公園で散歩すると気の巡りが良くなります。
取り入れたい食材
気の巡りを良くする「香りの高い野菜やフルーツ」がおすすめです。例えば、フレッシュな柑橘類は匂いを嗅ぐだけでも気持ちがスッキリします。シソやセロリ、パクチーなどの香りの強い野菜、ハーブなどを食事に取り入れるのも良いでしょう。
食欲が止まらないという時は、ハーブティーを飲んだり深呼吸するだけでも心が落ち着いて食べ物を食べずに済むこともあります。うまく気持ちをコントロールしながら、辛い時期を乗り越えましょう。
むくみや吐き気、めまいなどが特徴的な「痰湿」タイプ
次のような症状が特に辛いという人は、「痰湿」タイプであると考えられます。
- 下半身がむくみやすい、顔がむくむ
- 体が重たく感じる
- 一日中眠たい、動きたくない
- トイレの回数が少ない
- おりものの量が多い
- 吐き気やめまいがする
- 胃がもたれる
生理前は西洋医学的に考えると女性ホルモンの影響により水分を溜め込みやすい時期です。漢方の考え方でも、月経前や月経中は「水」の流れが悪くなることで不調が起こりやすいと考えられています。特にもともと「痰湿」タイプの人は悪化しやすい傾向にあります。
「痰湿」タイプにおすすめの改善法
水分代謝の妨げとなるのが「冷え」です。日頃から水分を多く摂る人や冷たいものを摂りすぎている人は冷えにより水の巡りが悪くなっている可能性があります。あまり運動しない人、汗をかかない人も水分の巡りが悪くなりがちです。
また、「水」を司るのは五臓六腑の「腎」であり、ホルモン分泌にも関係します。「腎」は冷えが苦手な臓腑であることからも、冷えを取り除いていくことが「痰湿」タイプの養生のカギとなります。日常生活においては体を冷やさないように心がけ、冷たいものやフルーツなどの摂り過ぎを控えるようにしましょう。
取り入れたい食材
「水」の流れを促してくれる作用がある豆類やウリ科の食材を摂りましょう。ハトムギ茶やトウモロコシのひげ茶などもおすすめです。
汗をかくことで水分代謝が促されるので、じんわり汗をかく程度の入浴やヨガやウォーキングのような軽めの運動を取り入れてみましょう。
末端の冷えや下腹部の痛みなどが特徴的な「血瘀」タイプ
次のような症状が特に辛いという人は、「血瘀」タイプの可能性があります。
- 月経周期が不規則
- 生理痛がひどい
- 経血中にレバー状の血塊が出る
- しみやクマができやすい
- 肩こりや頭痛がする
- 下腹部に圧痛がある
- アザができやすい
月経前は子宮内膜を増やすために血液が子宮に集まり、そのため「血瘀」が起こりやすい時期です。特に、もともと「血」の巡りが悪いタイプの人は、生理前や生理中に「血瘀」が悪化したことによる症状が出やすい傾向があります。
「血瘀」タイプにおすすめの改善法
「血」の流れを司っているのが五臓六腑における「肝」であり、ストレスを受けやすい臓腑でもあります。冷えとストレスは「血」の巡りを悪くする原因となるため、生理前から特に注意することが大切です。リラックスして過ごすことと、血液の巡りを良くするために腰回りを動かすストレッチなどの運動も取り入れましょう。血行を良くする効果がある半身浴もおすすめです。
取り入れたい食材
食材としては生姜やらっきょう、にら、にんにくなどの辛味野菜を摂ると血行が促されます。「血」をきれいにする作用がある「黒い食材」である黒豆や黒ごま、「血」が不足している人は「赤い食材」であるクコの実や赤みの肉なども摂るようにしましょう。
PMSの症状は自分に合わせた養生で改善していこう!
PMSは月経がある限り完全に無くすことは難しいかもしれませんが、日頃の養生により少し改善することができます。誰もが同じ方法で改善できるわけではなく、症状には個人差が大きいため、それぞれの体質に応じた対処法を取り入れていくことが大切です。
また、今回は大きく体質を3つに分けてPMSの症状について説明しましたが、いずれにも当てはまるという場合もあります。それぞれの養生法を少しずつ取り入れながら、PMSの症状と上手に付き合っていきましょう。