多くの難聴は生命に危険はないが・・・
年をとると、しだいに耳の聞こえがわるくなってくるが、これは内耳や聴覚神経に老化現象が起こるからである。耳の老化現象をとめる方法は、現代医学でも、漢方でもない。
考えられる病気
病気によって耳がよく聞こえなくなるものを、難聴(なんちょう)という。外耳道(がいじどう)の閉塞(へいそく)や中耳炎・薬の副作用・かぜ・頭部の外傷・内耳炎・メニエル病などが原因になる。子どもでは、咽頭へんとう肥大のアデノイドが多い。
以上のものは、生命に危険はないが、ただ脳腫瘍によるものだけは、早期治療が必要になる。これは片側の耳の耳鳴りと難聴ではじまり、めまい・からだのふらつきがあり、顔面の知覚もにぶる。
漢方では耳鳴りの処方でもかまわない
難聴は耳鳴りをともなうことが多いので、漢方ではあまり区別をしない。したがって「耳鳴りがする」の項で紹介した処方は、そのまま難聴にも使用できる。なお、いちばん多い難聴は、かぜから起こる中耳炎によるものなので、その場合は次のような処方がよい。
耳が聞こえづらい方の漢方薬
葛根湯
かぜをひいて寒けと発熱があり、肩こり・耳痛・頭痛をともなう難聴によい。
小柴胡湯
寒けはないが、まだ熱はあり、口が乾き、舌に白苔(はくたい)がある場合に用いる。
大柴胡湯
がっちりタイプで、便秘がち、胸脇苦満(前述参照)もあるという人に使う。
大柴胡去大黄湯
上の症状で、便秘しない人に。