「胃苓湯(いれいとう)はお腹がポチャポチャしてむくむときによく使われます」
処方のポイント
消化器周辺の水分流通をよくする平胃散と、からだ全体の水分流通をよくする五苓散を合わせたもの。むくみ、食欲不振、二日酔等に適応する甘辛味で、温服が効果的。
目次
胃苓湯が適応となる病名・病態
保険適応病名・病態
効能または効果
水瀉性の下痢嘔吐があり、口渇、尿量減少を伴う次の諸症:食あたり、暑気あたり、冷え腹、急性胃腸炎、腹痛。
漢方的適応病態
湿困脾胃。すなわち、表証があり、水溶性下痢や浮腫を伴うもの。
胃苓湯の組成や効能について
組成
蒼朮2.5厚朴2.5陳皮2.5沢瀉2.5猪苓2.5茯苓2.5白朮2.5桂枝2生姜1.5大棗1.5甘草1
効能
温化寒湿・健脾利水
主治
脾胃不和・湿滞水盛
解説
胃苓湯は運脾燥湿、和胃の「平胃散」に、利水滲湿の「五苓散」を加えた処方である。利水滲湿の作用が強化され水湿が停滞することによって生じた下痢症状を治療する。
適応症状・処方分析
平胃散と五苓散を参照
臨床応用
◇下痢
体内の水温を除去する作用が強く、効果も早い。特に夏、秋に多い暑気あたり、食あたりで、湿熱より寒湿に属する下痢に適する。慢性の下痢にも用いられる。
◎疲労、無力など牌気不足の症状が強いとき+「六君子湯」(健脾化痰)