吐きけが主訴の生理現象
妊娠初期に起きる生理現象である。妊娠四か月の末ごろには、自然に治まるのがふつうである。
症状
主訴は吐きけ。とくに早朝の空腹時におぼえることが多く、このときふつうは生ツバが出る。ほかに、眠けをもよおす、全身がだるくなる、すっぱいものが食べたくなり、食物の好ききらいが変わる、のどが渇くなどといった症状もあらわれる。
吐きけがあるために、食欲不振になることも多いが、むしろ食べないで空腹でいると、ますます嘔吐感ははげしくなる。食欲はなくても、何か食べものを腹におさめたほうがよい。とくに朝、起きがけに何か食べておくと楽になるものだ。
漢方は副作用はないが
つわり止めにサリドマイドを服んで胎児が奇形になったのはよく知られるところだが、漢方薬にはそうした副作用はない。ただし、できることなら、薬にたよらずに、つわりを克服するのが望ましい。
つわりに効果的な漢方薬
小半夏加茯苓湯
軽度のつわりに一般的に。
半夏厚朴湯
神経症状が強く、のどの異物感があり、発汗・むくみがあり、尿意が近くなる人に。
五苓散
尿が少なく、のどが渇く人に。
人参湯
体力がない人で、冷え症、生ツバが多くたまり、下痢しやすく、腹痛も訴えるものに。
六君子湯
胃のあたりが重苦しく、食欲なく、疲れやすく、貧恤ぎみで、下痢ぎみの虚証の人に。