手足のしびれは知覚マヒと運動マヒの二種類がある
しびれるということと、マヒするということは医学的には同意義である。けれども、長い間座っていて、しびれのために立ち上がれなくなったり、重いものをもったために手がジンジンする状態をしびれ感という言葉で表現することもある。この状態は、マヒの軽いものと考えてよいだろう。
考えられる病気
マヒには二種類ある。ひとつは知覚マヒ。これは、運動の不自由はさほどないが、皮膚の感覚がにぶくなっている状態である。高血圧症・脚気(かっけ)・ノイローゼなどで、しびれ感を訴える。むち打ち症なら手にしびれがくる。最近では、多発性神経炎と診断されるものが多い。一種の薬物中毒によるものだ。
もうひとつは運動マヒ。運動神経がマヒし、運動が不自由になる状態で、これは流行性や脳性の小児マヒにみられる。ただし、運動マヒでは知覚マヒもともなうものが多く、脳卒中・糖尿病・坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)・パーキンソン氏病のこともある。
漢方の素人療法では不仁(ふじん)を対象にする
運動マヒを痿(い)、しびれを不仁といって一応区別するが、素人療法ではしびれ感を対象にする。
手足のしびれに効く漢方薬
八味丸
下半身のマヒによく用いる。脊髄性のもので、歩行困難の場合でも治ることがある。
当帰芍薬散
産後の脚気で、歩行不能のものに。
十全大補湯
多発性神経炎のしびれによく効く。
桂枝加朮附湯
貧血性、冷え症の虚弱体質に。