無尿・乏尿には危険が多い
尿の量が少ない・出にくい・出ないというのは医学的にいえば、はっきりと区別しなければならないものだが、ここでは一緒に扱う。
考えられる病気
尿の量が少なくなる場合。急性の胃炎や自家中毒症などで、嘔吐や下痢をくりかえせば、水分が失われ、尿量は減少する。また高熱を発して、たくさん汗をかいたときも、尿量は減る。尿量減少で最も問題なのは、まぶた・顔にむくみがあらわれるときで、急性腎炎やネフローゼが疑われるので、ただちに医師の診察を。
尿が全然出なくなる(無尿)・出にくい(乏尿)という場合には、危険が多い。尿道や膀胱、あるいは前立腺などに、結石・腫瘍・炎症などが起きて、尿の通過を妨げるからである。なお、ときには、会陰部(えいんぶ)を強く打ったり、脊髄(せきずい)に障害がある場合に、排尿困難になることもある。
漢方では会陰部を打ったら桃核承気湯
当然、利水剤を用いる。別項「尿が多い」参照。
尿が少ない・出にくい・出ない方の漢方薬
八味丸
老人で、倦怠感を訴えるような人の、尿量減少に。下肢にむくみがあってもよい。
五苓散のどが渇くが、尿の出が少ない場合によく用いる。むくみがあってもよい。
竜胆瀉肝湯
膀胱や尿道、またはその周囲に炎症が起きて、尿が出にくい場合に処方する。
桃核承気湯
会陰部を強く打ち、尿閉を起こしているときに、著効をみることがある。