これまた防御反応だが
痰(喀痰(かくたん))もまた、セキと同じように生体の防御反応で、気管や気管支、それに肺胞などからの分泌物・滲出液が、気道をとおって外に排出されるものである。ときには、肺にできた空洞、膿瘍(のうよう)などの内容物であることもある。
痰が多く病気が考えられる場合
痰が多いときには、気管支拡張症や慢性気管支炎、肺結核などの疑いがある。黄緑色か灰白黄色をした痰(膿性痰)は、細菌の感染がある場合である。不透明な黄色で、ねばねばしている痰(粘液膿性痰)は、気管支肺炎などにみられる。血痰は、かぜや気管支炎で少量出ることもあるが、肺ガンや肺結核のこともあるので、正しい診断を受ける必要がある。
漢方では処方はセキと同じ
現代医学でもそうだが、漢方では痰が切れやすいか、切れにくいかにわけ、これを重視する。また、痰の性状もねばりけがあるか、色はどうか、勾いはあるか、などを観察し、判断の基準にする。
多くの場合、分泌物である痰はセキと同時に出てくる。これを嗽というのは、すでに「セキが出る」の項で述べたとおりである。処方についても「セキが出る」の項を参照していただきたい。
民間療法
ミカンの皮を乾かしてきざんだもの(陳皮(ちんぴ))を煎じ、さらにこれにハチミツ(蜂蜜(ほうみつ))を入れて飲むと、効果があるという。クロマメやナンテン(南天)も、タンに対する民間薬である。