「小柴胡湯加桔梗石膏はのどのひどい炎症によく使われます」
処方のポイント
治り切らない感冒に使われる小柴胡湯に、のどの炎症や痛みを軽減する桔梗、石膏を加えた構成。こじれたかぜで悪寒と発熱が繰り返され、のどが腫れて痛みがある等の症状に適応する。甘辛味で、温服が効果的。
目次
小柴胡湯加桔梗石膏が適応となる病名・病態
保険適応病名・病態
効能または効果
咽喉がはれて痛む次の諸症:扁桃炎、扁桃周囲炎。
漢方的適応病態
熱証が強い小柴胡湯証。すなわち、咽痛、口渇、高熱などを伴う。慢性期にはすなわち再発予防。
小柴胡湯加桔梗石膏の組成や効能について
組成
「小柴胡湯」+桔梗3石膏10
効能
清熱利咽
主治
熱盛による咽痛
解説
小柴胡湯加桔梗石膏は「小柴胡湯」に桔梗石膏を加えた日本の経験方である、疏肝・清肝作用の優れた「小柴胡湯」に、清熱瀉火作用のある石膏と宣肺利咽、去痰排膿作用のある桔梗を加えることによって、清熱作用が増強される、特に熱邪が亢進した咽喉部の病症に適する。
適応症状
◇咽痛・咽腫
咽は肺の扉である。また、頚部両側の淋巴腺と扁桃腺には肝のが走行しているので、肺熱と肝胆の熱が上昇すると咽喉部の腫痛が出現する。
◇発熱・口渇
熱邪が体内に充満した症状である。
◇舌紅・苔黄
熱盛を意味する舌象である。
◇脈浮数
熱を意味する数脈がみられると同時に、表熱が残る時には浮脈がみられる。
臨床応用
◇咽喉部疾患
石膏の優れた清熱瀉火作用に柴胡、黄芩の清熱作用が加わり、熱邪による諸症状を治療する。特に桔梗は
①利咽作用
②化痰、排膿作用のほか、薬を上部に作用させる効能があるので、方剤の治療範囲を上部に集中させることができる。
咽が赤く腫れて痛む、発熱、口渴、舌紅など熱邪上昇の症状(急性扁桃腺炎、扁桃周囲炎、あるいは頸部のリンパ腺炎など)に用いる。
小柴胡湯加桔梗石膏は基礎となる「小柴胡湯」に人参などが配合されているので、正気を助けながら邪気を除去する「扶正去邪」の処方である。正気不足のため反復して発症する慢性咽喉炎、慢性扁桃腺炎などの治療にも使用できる。
◎悪寒、発熱頭痛などの表証をともなうとき+「銀翹散」(辛凉解表)
◎咽痛、咽腫が強いとき+「黄連解毒湯」(清熱解毒)